ニットに引っかからないアクセサリーの選び方|セーターの糸が出る原因と、出てしまったときの直し方

八月の終わりになると、朝いちばんの空気だけ、少し軽くなります。

日中はまだ蝉が鳴いているのに、窓を開けた瞬間だけ、秋のにおいがまざっている感じです。

この時期になると、しまってあるニットのことを思い出します。

そして毎年、思い出したくないことも一緒に思い出します。

去年の秋、お気に入りのセーターから糸が一本、すーっと長く引き出されてしまったこと。

原因は、その日に着けていた指輪の石留めの爪でした。

今日は、ニットに引っかからないアクセサリーの選び方を書こうと思います。

なぜニットだけあんなに糸が出るのかという話と、引っかかる場所の見分け方と、それでも出てしまったときの直し方まで。順番に見ていきます。

ニットだけ、どうしてあんなに糸が出るのか

シャツやブラウスの生地は、縦の糸と横の糸を格子状に組んで作られています。

糸と糸が交差して押さえ合っているので、一か所を引っ張っても、そこだけで止まります。

ニットは違います。

一本の長い糸で輪をつくり、その輪に次の輪をくぐらせて、ずっとつなげていった作りです。

つまり、生地ぜんぶがひとつづきの鎖のようになっています。

だから輪をひとつ引っ張ると、隣の輪から糸が送られてきて、その隣からも送られてきます。

小さな穴が開くのではなく、糸が長く引き出される形になるのは、このためです。

目が粗いローゲージのニットや、モヘアのように毛足の長いものほど、輪が大きくて引っかかりやすくなります。

秋のはじめに出番の多い、ざっくりしたカーディガンがちょうどそれです。

引っかかるのは、だいたい四か所です

手持ちのアクセサリーを並べて、引っかかりそうな場所を探してみました。

私の場合は、四つに絞れました。

ひとつめは、石を留めている爪の先です。

石の周りから細い金属が三本や四本、上に向かって伸びていて、その先端が少し立っています。

指輪でこれが起きると、袖口を通すたびに毛糸をすくいます。

ふたつめは、留め具のばねの隙間です。

ネックレスの引き輪は、レバーを押すと輪の一部が内側へ開く仕組みなので、開く側にどうしても細い切れ目が残ります。

留め具の形についてはネックレスの留め具の種類に書きました。

みっつめは、チェーンのつなぎ目と、トップを吊っている丸カンです。

丸カンは一本の線を丸めただけの部品なので、輪の合わせ目に段差があります。

よっつめは、ピアスのポストとキャッチの隙間です。

セーターを頭から脱ぐとき、耳の後ろをちょうど生地が通っていきます。

キャッチのことはピアスのキャッチが落ちる・なくしたときはにまとめてあります。

引っかかりにくいものには、共通点があります

逆に、何年着けても一度も糸を出していないものもあります。

見比べてみたら、共通点が三つありました。

ひとつ、生地に当たる面が平らで、縁が丸いこと。

ふたつ、動く部品が少ないこと。ゆらゆら揺れるものは、その分だけ生地をなでる回数が増えます。

みっつ、そもそも金属が生地に触れないこと。

三つめがいちばん確実で、いちばん見落とされている気がします。

布や糸でできた部分が外側に来ていれば、毛糸と毛糸が触れるだけになります。

今日ご紹介したいのは、毛糸でできたピアスです

ルチカの「ころり毛糸玉 ピアス」をご紹介しようと思います。

2,090円(税込)で、平らなゴールドのサークルが10mm、下がっている毛糸のボールが15mmです。

商品ページには「まさに今の季節にぴったり!な毛糸素材のボール型ピアス」と書かれていました。

この文章が書かれたのは秋の入荷のときだと思いますが、八月の終わりに読むと、ちょうど先取りの気分になります。

色はグレーの一色です。

濃いチャコールではなく、少し青みのある明るいグレーで、白っぽい繊維がまざっています。

ころり毛糸玉ピアスの拡大。平らなゴールドのサークルの下にグレーの毛糸のボールが下がっている

サークルは鏡のように磨かれていて、毛糸のもこもこと並ぶと質感の差がはっきり出ます。

ボールのほうが大きいので、遠目には毛糸玉だけが目に入ります。

裏側を見たら、平らな円盤とキャッチだけでした

引っかからないかどうかを確かめたかったので、裏から撮った写真を拡大してみました。

ころり毛糸玉ピアスの裏側。平らな円盤にポストが立ち、蝶々型のキャッチが付いている

耳に当たる側は、まっさらな円盤でした。

その中心からポストがまっすぐ立っていて、蝶々の形をしたキャッチが付いています。

爪も、透かしの飾りも、彫りもありません。

円盤の縁は薄く、角が丸められていました。

生地に触れる可能性があるのは、このキャッチの羽の部分だけという構造です。

それも、羽は外側に向かって寝ているので、立った角がありません。

毛糸のボールは金具から吊るのではなく、上に小さな金色のキャップをかぶせて留めてあります。

このキャップだけが唯一、透かしの入った部品です。

ただし場所がボールの真上で、しかも周りをぐるりと毛糸に囲まれているので、生地が届きにくいところにあります。

毛糸の玉は、かぎ針で編んであります

写真をさらに拡大すると、ボールの表面に編み目が見えます。

くるくるとらせんを描くように目が並んでいて、かぎ針で編み上げたものだとわかりました。

フェルトを丸めたボールとは触った感じが違うはずで、こちらのほうが少し弾力があります。

編んだ玉なので、表面には輪がずらりと並んでいることになります。

つまり、ここだけはニットと同じ構造です。

そのぶん、とがったものに引っかけると、こちらの糸が出る可能性があります。

セーターを守るかわりに、こちらは少し気をつける、という関係です。

とはいえ玉のサイズが15mmと小さく、しっかり詰まって編んであるので、普通に着けているぶんには心配しなくて大丈夫だと思います。

素材の記載がなかったので、ブランドのページを見ました

この商品ページには、サイズは書いてあるのに素材の欄がありません。

ルチカのブランド紹介ページに、まとめて書いてありました。

素材の記載が個別にない商品は、真鍮または合金(スズと亜鉛)、もしくは金属部分にメッキ加工が施されたもの、とのことです。

あわせて、商品名の「ゴールド」は色の名前で、金そのものは使っていないという説明もありました。

真鍮のことは真鍮のアクセサリーについてに書いています。

金属アレルギーが心配な方は金属アレルギーとアクセサリーの素材のほうもご覧ください。

メッキのものは、汗や香水で色が変わることがあります。

外したあとに柔らかい布で拭いておくと長持ちする、というのはブランド側からの案内です。

耳もとは、ニットの日にいちばん安全な場所です

ころり毛糸玉ピアスの着用イメージ。耳たぶにサークルが乗り、その下に毛糸の玉が下がる

着けたところを横から見ると、耳たぶの上にサークルが乗って、その下に玉が下がります。

耳から下は2cmほどで、揺れる幅もわずかです。

耳のまわりというのは、そもそも服が常に触れている場所ではありません。

胸もとや手首と違って、一日じゅう生地とこすれ続けることがない、という意味です。

ニットの日に何か着けたいなら、耳もとがいちばん安全だと思っています。

危ないのは、着るときと脱ぐときの一瞬だけです。

なので私の場合は、順番を決めています。

着るときは、服を着てからアクセサリーを着ける。

脱ぐときは、アクセサリーを外してから服を脱ぐ。

これだけで、糸を出す機会がほとんど無くなりました。

イヤリングで着けたい方は、金具の調整のことをイヤリングがゆるい・落ちる時の締め方に書いています。

ニットの日のネックレスは、長さで決まります

ネックレスは、ニットといちばん長く触れ合うアクセサリーです。

短いものは首もとで完結するので、生地の上を移動しません。

長いものは歩くたびに胸の上を行ったり来たりします。

ざっくりしたニットの日は、短めを選ぶか、いっそセーターの内側に入れてしまうほうが安心です。

長さの目安はネックレスの長さの選び方にまとめました。

当店には、トップの付いていないチェーンだけの商品もあります。

ルチカのネックレスチェーン(38cm 真鍮製)は1,650円(税込)で、38cmという短めの長さです。

首のつけ根あたりで止まるので、ハイネックの上に重ねてもチェーンが動きません。

ブローチは、ニットにいちばん気を使います

ブローチは、針を生地に刺して留めるものなので、ニットとは相性を選びます。

目の粗い生地は、輪と輪のあいだに針を通せるので、実は穴が開きにくいという面もあります。

気をつけたいのは、糸を割って刺してしまうときです。

留め方のコツはブローチのつけ方のほうに詳しく書きました。

毛糸つながりで言うと、ルチカの毛糸玉で遊ぶ猫のブローチがあります。

2,530円(税込)で2.8×2.7cm、猫の前に8mmの毛糸玉が下がっているデザインです。

ただ、この毛糸玉はゆらゆら揺れる作りなので、さきほどの「動く部品が少ないこと」からは外れます。

かわいさを取るか、安全を取るかというところで、私ならニットではなくコートの襟に着けると思います。

揺れる部分のないものがよければ、同じルチカのcopain ブローチ(アルパカ)のほうです。

1,760円(税込)で3.5×3.0cm、合金と真鍮の一枚もので、可動部がありません。

毛の動物を毛糸の上に留めるというのも、季節としてはちょうどいい気がします。

指輪と袖口のこと

冒頭に書いた私の失敗は、指輪でした。

セーターの袖に腕を通すとき、指先は必ず筒の中を通ります。

石が高く留めてある指輪は、このとき爪の先が上を向いています。

対策は簡単で、袖を通すときだけ石を手のひら側に回しておくことです。

腕を出しきってから、石を上に戻します。

私はこの回す動作をするようになってから、袖からの被害がゼロになりました。

重ね付けをしている日は、指輪同士がこすれて金具が浮くこともあるので、あわせて指輪の重ね付けのコツもどうぞ。

糸が出てしまったときの直し方

気をつけていても、出てしまう日はあります。

やってはいけないのは、出た糸をはさみで切ることです。

切ると輪の連なりが途切れるので、そこから本当に穴が広がります。

もうひとつ、引っ張って戻そうとするのもだめでした。

引っ張ると、隣の輪から糸がさらに送られてくるだけです。

正しい直し方は、出てしまった糸を生地の裏側へ送ることです。

とじ針や、毛糸用の細いかぎ針を、糸が出ている根元に裏から刺します。

針の穴に出た糸を通して、そのまま裏へ引き抜きます。

表に残った引きつれは、まわりの生地を指で左右に軽く引いてならすと、だいたい馴染みます。

裏に出した糸は、切らずにそのまま置いておいて大丈夫です。

洗濯すると引きつれが落ち着くことも多いので、直したあとに一度洗うのもおすすめです。

当店の商品説明を「毛糸」で引いたら、二点だけでした

せっかくなので、当店の商品を毛糸という言葉で探してみました。

今日ご紹介したピアスと、さきほどの猫のブローチの、二点だけでした。

「編み」まで広げると四点になります。

思ったより少なくて、かえってこの季節に出す意味があると思ったんですよね。

毛糸そのものではないけれど、編み物の気配があるものなら、ほかにもあります。

ニック・ハバードのニットキャット シルバーチャームは4,620円(税込)で、約18mm、925スターリングシルバーです。

編みかけのニットの毛糸玉で猫が遊んでいる形で、手のあいだの玉がくるくる動きます。

チャームなので、これ一点ではネックレスになりません。

上に書いたチェーンを一緒に選んでいただく形になります。

それから、毛糸の元をたどってアルパカのもの。

カザのアルパカ ピアス(ゴールド)は2,530円(税込)で、横23mm・高さ20mm、耳たぶを前後で挟むタイプです。

ルチカのcopain ヘアゴム(アルパカ)は1,760円(税込)で、髪をまとめる日のためのもの。

インポートの羊の群れ ブレスレットは5,060円(税込)で、羊がずらりと並んだ一本です。

ブレスレットは袖口にいちばん近いので、ニットの日は袖の外に出さないほうが安全だと思います。

秋のはじめの贈りものを探していらっしゃる方は、誕生日プレゼントに贈りたいアクセサリー12選のほうもご覧ください。

毛糸のものは、しまい方が少し違います

毛糸のボールが付いたアクセサリーは、しまうときに二つだけ気をつけています。

ひとつは湿気で、しめった場所に置くと毛が寝てしまいます。

もうひとつは、ほかのアクセサリーと一緒くたに入れないことです。

同じ箱の中で、ほかの金具の爪が毛糸をすくってしまうと、今度は自分の玉から糸が出ます。

仕切りのあるケースか、小さな袋に一つずつ、が安心です。

しまい方はアクセサリーの保管方法にまとめてあります。

おわりに

ニットに引っかからないアクセサリーの選び方は、突き詰めると二つだけでした。

生地に当たる面に、立った角と動く部品がないこと。

そして、着る前と脱ぐ前に外すこと。

この二つで、去年のような失敗はしなくて済むようになりました。

今年の秋は、毛糸の玉を耳に下げて過ごしてみようと思っています。

セーターを出すのが、少し楽しみになりました。

▶ 「ころり毛糸玉 ピアス 【Luccica ルチカ】」の商品ページはこちら

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