絡まったネックレスのほどき方|チェーンに結び目ができる理由と、絡まりにくいネックレスの選び方

八月も終わりに近づくと、衣替えの前に引き出しの中を一度あけたくなります。

夏のあいだ着けっぱなしにしていたものを、そろそろ整理しようという気持ちになるからだと思います。

それであけてみると、決まって一つだけ、小さな結び目になっているネックレスが出てきます。

しかも不思議なことに、いちばん細くて、いちばん気に入っているものが選ばれています。

今日は、絡まったネックレスのほどき方を書こうと思います。

どうしてチェーンに結び目ができるのかという話と、実際にほどく手順と、そもそも絡まりにくいネックレスの選び方まで。順番に見ていきます。

結ばれるのは、いつも細いほうです

同じ引き出しに何本か入れていても、太いチェーンは無事なことが多いです。

結び目になっているのは、たいてい線の細いほうです。

これは運が悪いわけではなく、細いチェーンのほうが結ばれやすい理由がちゃんとあります。

紐でも糸でも、細くて柔らかいものほど小さく折れ曲がります。

小さく折れ曲がれるということは、自分の輪の中を自分でくぐれるということです。

太いチェーンは、そこまで小さく曲がれないので、輪をくぐる前に引っかかって止まります。

細いものだけが結ばれるのは、この差だと思っています。

結び目ができるしくみは、たった一つです

ネックレスをたたむと、輪ではなく細長い八の字のような形になります。

このとき、留め具のついている端だけが、自由に動く先端になります。

鞄や引き出しが揺れると、その先端がチェーンのすき間を通り抜けます。

通り抜けたあとで反対側から引かれると、そこが締まって結び目になります。

起きているのは、これだけです。

言いかえると、絡まりに必要なのは二つの条件だけということになります。

くぐる側の自由な端があること。くぐられる側にすき間があること。

この二つのどちらかを消してしまえば、結び目はできません。

後半で商品の話をするとき、この二つがそのまま選び方の基準になります。

ほどく前に、してはいけないことが二つあります

一つめは、両端を持って引っ張ることです。

結び目は、引けば引くほど小さく硬くなります。

小さくなった結び目は、あとから針を入れる余地がなくなるので、そこで手詰まりになります。

細いチェーンだと、引いた力がコマの一つに集中して、そこから切れます。

切れてしまった場合の直し方はネックレスのチェーンが外れた・切れた時の直し方に書きました。

二つめは、手に持ったままほどこうとすることです。

宙に浮いていると、ゆるめた分がすぐにまた締まって、元に戻ります。

ほどく作業は、平らな面に置いて、チェーンの重みを台に預けた状態でやるほうが早いです。

用意するものは、針が二本と、明るい場所

私の場合は、まち針を二本使います。

頭が丸いので持ちやすく、先が細いので細かいコマのすき間にも入ります。

縫い針や安全ピンでも代わりになります。つまようじは先が太いので、細いチェーンには入りません。

台になるのは、平らで、少し明るい色のものがいいと思います。

白いお皿や、ノートの表紙で足ります。

タオルの上は避けたほうがいいです。生地の毛にチェーンが沈んで、結び目の形が見えなくなります。

それと、手元の照明です。

ほどけない原因のほとんどは、力が足りないことではなく、どこがどこをくぐっているのか見えていないことでした。

ほどく手順は、四つに分けると迷いません

一つめ。台の上に置いて、結び目以外の部分をできるだけ広げます。

このとき、留め具のある端がどちらから出ているかを確かめておきます。

二つめ。結び目に針を一本さして、真ん中の輪を外側へ広げます。

ここでほどこうとせず、ゆるめるだけにしておくのがこつです。

三つめ。ゆるんだすき間に二本目の針を入れて、くぐっている端を、入ってきた方向へ押し戻します。

引き抜くのではなく、押し戻すという感じです。引くと締まりますが、押すと締まりません。

四つめ。端が抜けたら、チェーンを持ち上げずに、台の上で左右に軽くゆすります。

残っていたねじれが、自分の重さで落ちていきます。

結び目が二か所以上あるときは、留め具に近いほうから順にほどきます。端に近いほうが、押し戻せる距離が短くて済みます。

それでもゆるまないときは、すべりをよくします

硬く締まってしまった結び目には、油を一滴だけ使います。

ベビーオイルや、家にある食用の油で足ります。綿棒の先につけて、結び目にだけ置くようにします。

金属どうしのすべりがよくなるので、さっきまで動かなかった端が、すっと戻ることがあります。

ほどけたあとは、油をそのままにしないでください。

やわらかい布で全体を拭いて、油分を残さないようにします。残った油は埃を集めますし、素材によっては変色のもとになります。

シルバーのお手入れについてはシルバーアクセサリーのお手入れ方法に、真鍮については真鍮のアクセサリーについてに書いています。

石やパールがついているものに油を使うのは避けています。接着してある部分にしみると、そこがゆるむことがあるからです。

二本が絡み合ったときは、片方を動かしません

一本の結び目より、二本が絡んでいるほうが厄介に見えます。

ただ、やることは同じです。

私の場合は、太いほうを台に置いたまま動かさず、細いほうだけを抜いていきます。

両方を同時に動かすと、どちらがどちらをくぐったのか分からなくなります。

片方を固定してしまえば、考えることが半分になります。

三本以上のときは、はじめに留め具を全部外します。

留め具が閉じたままだと輪になっていて、抜けるはずの端が抜けません。

留め具の開け方はネックレスの留め具の種類にまとめました。

ほどけたあと、見ておきたい場所が三つあります

ほどけると安心してすぐしまいたくなりますが、そこで少し見ておくと次が長持ちします。

一つめは、コマの形です。

結び目になっていた部分だけ、輪が楕円につぶれていることがあります。つぶれた輪は次も同じ場所で折れます。

二つめは、引き輪のばねです。

レバーを何度か押してみて、戻りが鈍いようなら、中に埃が入っています。

三つめは、トップを吊っている丸カンの合わせ目です。

ここが開いていると、チェーンからトップだけが落ちます。ほどくときに力がかかりやすい場所でもあります。

この三か所を見るのに、一分もかかりません。

今日の一本|ちいさい蜜りんご コットン紐 ネックレス

ここからは、そもそも結び目ができにくいネックレスの話です。

当店の在庫から一本選ぶなら、チュチュアパタイジングの「ちいさい蜜りんご コットン紐 ネックレス」をご紹介しようと思います。

三千三百円(税込)。トップは縦約一・六センチ、横約一・八センチ。素材は真鍮と樹脂です。

ちいさい蜜りんご コットン紐 ネックレスのトップを拡大した写真。すりガラスのような白い実の中に、蜜のような黄色が透けて見える

白くくもった実の中に、黄色い蜜が溜まっているように見えます。

りんごの蜜の部分だけを切り取って固めたような形で、上には金色の葉が一枚ついています。

左右の輪郭がすこし違っていて、機械で抜いた形ではないことが分かります。

この作家さんは「でこぼこしていたり、溶けたあとがあったり全然完璧ではないけど愛着があるもの」という言い方をしていて、その通りの仕上げになっています。

紐には、端がくぐるすき間がありません

この品を選んだ理由は、モチーフより紐のほうにあります。

ちいさい蜜りんご コットン紐 ネックレスの全体写真。黒いコットン紐に留め具がなく、端どうしが結んであるだけ

全体を広げた写真です。

金具が一つも見当たりません。引き輪もカニカンもアジャスターもなく、端どうしが結んであるだけという作りです。

前半で、絡まりに必要な条件は二つと書きました。自由に動く端と、くぐれるすき間です。

この紐には、そのどちらもありません。

端は結ばれて輪になっているので、先端が存在しません。

紐そのものも一本の丸い線で、チェーンのようなコマのすき間がないので、くぐる先がありません。

だからねじれることはあっても、締まった結び目にはなりにくいです。

ねじれは、両手で持って一度ゆすれば戻ります。

言っておくと、良いことばかりでもありません。

コットンなので、金属のチェーンより汗や水に弱いです。夏の外出のあとは軽く拭いて、乾かしてからしまうほうがいいと思います。

長さを細かく変えることもできません。結び目の位置を動かせば多少は変わりますが、アジャスターのような刻みはないです。

八十センチは、頭から通せる長さです

紐の長さは約八十センチです。

ちいさい蜜りんご コットン紐 ネックレスの着用写真。黒いニットの上で、胸のあたりに小さな蜜りんごが下がっている

輪にすると四十センチほどになるので、着けたときはこのくらいの位置に下がります。

鎖骨より少し下、胸の上のあたりです。

留め具がないので、着けるときは頭から通します。

これは思っていたより大きな違いでした。後ろ手で留め具を合わせる作業がまるごと消えます。

爪が短い日でも、手が冷えている朝でも、通すだけで終わります。

長さの選び方そのものについてはネックレスの長さの選び方にまとめています。

写真は黒いニットに合わせた一枚です。トップが小さいので、厚い生地の上でも埋もれずに残ります。

ニットとアクセサリーの相性についてはニットに引っかからないアクセサリーの選び方にも書きました。

同じ作家の、紐ではないほうも並べてみます

同じチュチュアパタイジングには、「さんかくチーズ コットン紐 ネックレス」もあります。

五千六十円(税込)。三十八ミリ×二十七ミリ、厚みが十七ミリある、しっかり大きいチーズです。こちらも紐は八十センチで、金具はありません。

同じ作家でも、チェーンで仕立てているものもあります。

「ガラスのりんご ネックレス(青・チェーン四十二センチ)」は三千六百三十円(税込)で、こちらは金属のチェーンです。

同じ引き出しに入れるなら、この二種類は分けて置いたほうがいいと思います。

紐は絡まりませんが、絡まりやすいチェーンと一緒にすると、チェーンのほうが紐に巻きつきます。

細かい輪が重なるチェーンは、きれいなぶん絡みます

チェーンが悪いという話をしたいわけではありません。

当店で扱っている「ゴールドプレート プリンスオブウェールズ チェーン」は、商品説明に「輪が細かく重なりエレガント」と書かれています。

実際にきれいで、シルバー九二五に金をかけた品です。四十センチが六千百六十円、五十センチが六千八百二十円、六十センチが七千四百八十円(すべて税込)。

ただ、輪が細かく重なるということは、くぐれるすき間がその分たくさんあるということでもあります。

きれいさと絡みにくさは、同じ方向を向いていません。

だから細いチェーンを選ぶときは、しまい方のほうで手当てをします。留め具を留めてから、一本ずつ分けて置く。それだけで結び目はほとんど防げます。

トップだけ持っていて紐やチェーンを探している方には、ルチカの「ネックレスチェーン(三十八センチ・真鍮製)」が千六百五十円(税込)であります。

商品説明を「絡ま」で引いたら、一点だけ出ました

気になったので、店の商品を「絡ま」という言葉で検索してみました。

千九百点近くあるうち、出てきたのは一点だけでした。

しかもそれは、説明文ではなく商品名でした。林檎屋さんの「絡まり猫の ピアス(片耳用)」です。七千九百円(税込)。

絡まっているのはチェーンではなく、猫のほうという品です。

この日いちばん笑ってしまった検索結果でした。林檎屋さんの品は林檎屋(りんごや)のアクセサリー十七選にまとめてあります。

ついでに分かったこともあります。「絡まりにくい」と自分で書いている商品は、当店には一点もありませんでした。

絡まりにくさは、作り手が言葉で説明するところではなく、こちらが構造を見て判断するところだという感じがします。

絡ませないしまい方は、別に書きました

今日はほどき方の話にしましたが、しまい方のほうが本当は近道です。

家での置き方はアクセサリーの保管方法に、旅行に持っていくときの入れ方はアクセサリーを旅行に持っていくにはに書いています。

どちらにも共通しているのは、留め具を留めてからしまうという一点です。

留めてしまえば輪になるので、自由な端が消えます。前半に書いた二つの条件の、片方が無くなります。

金属アレルギーが心配な方は金属アレルギーとアクセサリーの素材も合わせてどうぞ。

贈りものを探している方は誕生日プレゼントに贈りたいアクセサリー十二選にまとめてあります。

おわりに

絡まったネックレスは、力ではなく明るさと針二本でほどけます。

引かずに押し戻す。台に置いたまま動かす。この二つだけ覚えておけば、たいていの結び目は五分ほどで戻ります。

そして、どうしても細いチェーンで苦労が続くようなら、紐のものを一本持っておくと気が楽になります。

結び目ができない代わりに、水に少し弱い。そのくらいの引き換えです。

衣替えの引き出しから、今年も一本くらいは結ばれたものが出てくると思います。

明るいところに持っていって、白いお皿の上に置くところから始めてみてください。

▶ 「ちいさい蜜りんご コットン紐 ネックレス」の商品ページはこちら

▶ 「さんかくチーズ コットン紐 ネックレス」の商品ページはこちら

▶ 「ガラスのりんご ネックレス(青・チェーン42cm)」の商品ページはこちら

▶ 「ゴールドプレート プリンスオブウェールズ チェーン(40cm)」の商品ページはこちら

▶ 「ネックレスチェーン(38cm 真鍮製)」の商品ページはこちら

▶ 「絡まり猫の ピアス(片耳用)」の商品ページはこちら

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