お葬式・お通夜・法事のアクセサリー|喪服に合わせるパールの選び方と、その日に外していくもの
九月のお彼岸が近づくと、法事の話をぽつぽつと聞くようになります。
先日、結婚式のお呼ばれのアクセサリーについて書いたのですが、書き終わってから、その反対の日のことを一度も書いていないと気づきました。
お葬式、お通夜、法事。
喪服は箪笥にあっても、耳もとや首もとをどうするかは、その場になって迷うところだと思います。
先に書いておきます。この記事は、当店の品をおすすめする記事にはなりませんでした。店の在庫を全部数えてみたら、その日に持っていける品がほとんど無かったからです。それでも書いておきたかったので、数えた結果もそのまま並べます。
訃報は、たいてい急に来ます
結婚式は日取りが決まっていて、招待状が届いてから当日まで何週間もあります。買い足す時間があります。
お葬式やお通夜はそうはいきません。連絡が来て、その日か翌日に出かけることになります。
だから、この手の記事で「これを買っておきましょう」と書かれても、間に合わないことのほうが多いと思うんですよね。
今持っているもので、その日をどう切り抜けるか。そこから書きます。
迷ったら、何もつけなくて大丈夫です
これがいちばん確実です。
耳に何もつけていない、首に何もかけていない。それで失礼になる場ではありません。
パールをつけるのが決まりだ、と思っている方がときどきいらっしゃいますが、つけなければいけないものではないんですよね。つけてもよい、というだけです。
迷った末に何かをつけて、当日そればかり気にしているくらいなら、外していったほうが落ち着いて過ごせると思います。
結婚指輪は、外さなくていいことになっています
全部外す、と考えると迷いますが、結婚指輪だけは例外として扱われます。
石が付いていない、幅の細い輪であればそのままで構いません。
大きな石が乗った婚約指輪のほうは、その日は外して出かけるほうが無難です。手を合わせるときに、いちばん人の目に入る場所なので。
指輪については 重ね付けの記事 でも触れましたが、弔事の日は「一本だけ」と考えておくとまとまります。
パールが選ばれるのは、光りかたが静かだからでした
では、なぜパールなのか。
石やガラスは、面で光を跳ね返します。角度が変わるたびに、きらっと強い点が出ます。
パールは表面が薄い層の重なりでできていて、光が中に少し入ってから戻ってきます。だから、跳ね返るのでなく、にじむような光りかたをします。
遠くから見ると、光っているのか光っていないのか分からない。その曖昧さが、静かに過ごす日に合うということだと思います。
真珠そのものの話は パール(真珠)の魅力 に書いてあるので、素材の成り立ちが気になる方はそちらもどうぞ。
白でも黒でも、どちらでも構いません
黒でないといけない、と思っている方がいますが、そんなことはありません。
白の一粒でも、黒の一粒でも、どちらも弔事に使われます。地域によって「こちらのほうがよく見る」という違いはありますが、白だから失礼ということはないです。
避けたほうがいいのは、白と黒を混ぜること。それと、ピンクやゴールドに寄った色のパールです。ピンク系は華やかに見えるので、その日は置いていきます。
二連にしない、というならわし
ネックレスは一連にする、二連にしない。これはよく言われます。
重なる、続く、という形を避ける、という考え方から来ています。
同じ理由で、ネックレスとブレスレットを両方つける、指輪を重ねる、といったことも、その日は控えるほうがまとまります。
結婚式のほうは逆で、二連も三連も華やかで良いとされます。同じパールでも、日によって扱いが正反対になります。この差については 結婚式のお呼ばれアクセサリーのマナー のほうに詳しく書きました。
揺れるものは、その日は外しておきます
耳もとで揺れる、というのは、動くたびに視線を集めるということです。
焼香で頭を下げる、席を立つ、そのたびに耳が動いていると、自分でも気になります。
耳たぶに沿って止まっている形。長さは二センチ以内。この二つを守っておけば、そう浮くことはありません。
耳もとの長さの目安については 職場でも浮かないアクセサリーの記事 にも書きました。人前で静かにしていたい日は、考え方がだいたい同じです。
金具の色は、金より銀のほうが目立ちません
見落としがちなのが、パールを留めている金具の色です。
パールが白く静かでも、その周りが金色の線で囲まれていると、そこだけ光ります。
同じ形なら、銀色の金具のほうがおとなしく見えます。ゴールドとシルバーのどちらが似合うか という記事も書きましたが、弔事の日にかぎっては、似合うかどうかより「目立たないほう」を選ぶのが早いです。
バッグの留め具、靴のバックル、時計のベルト。ここも金色だと案外目に入ります。
当店のパールを、四十五点数えてみました
ここまで書いてきた条件を、自分の店の在庫に当ててみることにしました。
店に並んでいるのは千七百五十四点。そのうち、商品名か説明文に「パール」「真珠」と入っているものが四十五点ありました。在庫の合計は七十八個です。
内訳はこうなりました。
ピアス二十五点/イヤリング十一点/ネックレス五点/リング二点/ブローチ一点/シルバーチャーム一点。
ついでにもうひとつ数えました。千七百五十四点の説明文のどこにも、「喪」「弔」「冠婚葬祭」「一連」「略式」という語は一度も出てきません。全部ゼロ件でした。当店はそういう店だった、ということです。
条件を四つ通したら、残ったのは一点でした
四十五点に、上で書いた条件を順番にかけていきます。
ひとつめ、動物や花や星のモチーフでないこと。猫、うさぎ、パグ、雪の結晶、一筆書きの星、葉っぱ。二十五点が外れて、残り二十点。
ふたつめ、揺れないこと。説明文に「揺れる」「ゆらゆら」と書いてあるものを外します。十点が外れて、残り十点。
みっつめ、光る石やラメが入っていないこと。カットガラス、スワロフスキー、ジルコニア、ピンクの飾り。七点が外れて、残り三点。
よっつめ、縦二センチ以内であること。二・六センチのイヤリングと、結び目から十センチ下がるネックレスが外れて、残ったのは一点でした。
その一点にも、足りないところがあります
残ったのは、ルチカの「サークルパール ピアス」でした。

小さな淡水パールを輪の形に並べたピアスで、直径は一センチ。千八百七十円が今の税込価格で、在庫は二点あります。金具はサージカルポストなので、金属が心配な方にも比較的あたりの柔らかい品です。
ただ、写真をよく見ていただくと、パールを留めている線が金色です。ポストのほうは銀色なので、ちぐはぐでもあります。
それと、輪は上の小さな玉から下がっているつくりなので、動くとほんの少しだけ揺れます。説明文に「揺れる」と書いていないので数えるときは残りましたが、止まっているとまでは言えません。
お通夜や告別式に、これを買ってつけていってください、とは書けないです。四十五点のうちで一番近かった、というだけの一点として見ていただければと思います。
▶ 「サークルパール ピアス 【Luccica ルチカ】」の商品ページはこちら
耳に穴がない方には、お出しできるものがありませんでした
ここがいちばん困ったところです。
四十五点のうちイヤリングは十一点。そのうち揺れないものは四点しかなく、その四点にはどれも色や飾りが入っていました。
たとえばルチカの「エレガントパール イヤリング」。白いパールを小さなパールで囲んだ形で、揺れず、在庫も六点と当店のパールでは一番多いのですが、下にピンクのスティックが三本ぶら下がっています。

明るくてかわいいイヤリングだと思います。ただ、喪服の日に合わせるものではありません。
耳に穴がなくて、その日のためのものを探していらっしゃるなら、当店ではなく、パールを専門に扱っているお店をご覧になったほうが早いです。白の一粒をクリップ式かネジバネ式で留めた、直径七ミリから八ミリくらいのものが定番です。
ネジバネ式が緩んで落ちるようであれば、イヤリングがゆるい・落ちる時の締め方 のほうに直し方を書いてあります。買った先がどこであっても使える話なので、よければ。
お手持ちのピアスをイヤリングとして使う道具もありますが、当店で扱っているものは色石や星の飾りが付いた形なので、その日には向きません。道具そのものの説明は イヤリングコンバーターの記事 にあります。
▶ 「エレガントパール イヤリング 【Luccica ルチカ】」の商品ページはこちら
黒真珠は二点ありますが、その日のためのものではありません
黒のパールは当店に二点あります。どちらもタヒチ産の本真珠です。
ひとつは十二ミリ×十六ミリのペンダントトップ。二万七千五百円。ただし脇にジルコニアが留まっていて、そこがはっきり光ります。
もうひとつがラリエットのネックレスです。

シルバーのメッシュチェーンを一度結んで、そこから黒真珠が二粒下がるつくりです。三万七千八百四十円。
きれいなネックレスだと思います。ただ、結び目から十センチ下がりますし、粒が二つ並んで揺れます。上に書いた「二連にしない」「揺らさない」という考え方とは、ちょうど逆を向いています。
黒真珠だから弔事に使える、という単純な話ではない例として載せておきます。
▶ 「タヒチパール シルバー ラリエット ネックレス」の商品ページはこちら
一連のネックレスは、当店では扱っていません
弔事の定番といえば、白いパールが一周ぐるりと連なったネックレスです。
当店には一本もありません。「一連」という語で店内を検索してもゼロ件でした。
当店は、動物やお菓子や楽器の形をしたアクセサリーを集めている店です。そちらに寄せてきたぶん、こういう場面の定番は持っていないままになりました。
持っていないものを、あるように書くことはできないので、そのまま並べておきます。
地域と家によって、ずいぶん違います
ここまで書いてきたことは、あくまで広く言われている目安です。
土地によっては、パールも含めて何もつけないのが普通というところがあります。家によっては、その反対に、きちんと着けるのが礼儀とされているところもあります。
迷ったら、その家に近い方にひとこと聞くのがいちばん確実です。聞ける相手がいないときは、外していく。それで大きく外すことはありません。
帰ってきたら、その日のうちに拭いておきます
パールは、汗と皮脂と乾燥に弱い素材です。表面の層が薄いので、酸に触れるとくもります。
長い時間を過ごして帰ってきた日は、やわらかい布で軽く拭いてからしまってください。水につけたり、洗剤を使ったりはしないほうがいいです。
香を焚く場でもあるので、煙のにおいが残ることもあります。においは布で拭いて、風の通るところにしばらく置いておくと落ち着きます。香水とアクセサリーはどちらが先か の記事に、化学製品とアクセサリーの距離の取りかたを書いてあるので、あわせてどうぞ。
しまい方そのものは アクセサリーの保管方法 に、金具の素材の話は 金属アレルギーとアクセサリーの素材 にまとめてあります。銀の黒ずみが気になる方は シルバーの記事、真鍮の変色については 真鍮の記事 もどうぞ。
回を重ねると、だんだん平服になっていきます
お通夜と告別式、そして一周忌くらいまでは、上に書いたとおりの装いになります。
三回忌、七回忌と回を重ねていくと、案内に「平服で」と書かれることが増えてきます。集まる人も身内だけになっていきます。
お別れの会や偲ぶ会というかたちで、故人が好きだったものを持ち寄る集まりもあります。そういう日なら、その人が好きだった動物や花のかたちを、小さく身につけていっても構わないと思います。
私の場合は、その手の集まりのほうが、当店の品を出せる日だと思っています。ただ、案内に何も書いていないときは、控えめなほうに寄せておくのが安心です。
おわりに
在庫を数えて、四十五点から一点まで絞って、その一点にも足りないところがあった、という記事になりました。
売り込みにならないことは書きながら分かっていましたが、その日に困る方がいらっしゃるだろうと思ったので、そのまま出すことにしました。
当店で扱っているのは、どちらかというと日常のほうのアクセサリーです。贈りもののガイド や 予算別のギフト記事、相手別のギフト記事 もありますので、そういう日のことでしたらお役に立てると思います。
どうぞ、落ち着いてお過ごしください。