18金・金メッキ・真鍮の違い|K18とK10の意味と、金色のアクセサリーの見分け方
九月に入ると、店の照明の色が急に変わって見えます。
夏のあいだは白っぽく感じていた光が、少し黄色く落ち着いてくるんですよね。
その光の下で金色のアクセサリーを並べていて、ふと手が止まりました。
同じ棚の上に、金色のものが三つ。
ひとつは十金のピアス。ひとつは真鍮に金メッキをかけたチェーン。もうひとつは、ただの真鍮のピアス。
並べて上から見ると、私にも見分けがつきませんでした。
値段はずいぶん違うのに、見た目は同じ金色です。
18金・金メッキ・真鍮。この三つは何がどう違うのか、というお話をしようと思います。
そのついでに、当店の商品を全部で1,716点、一点ずつ開いて数えました。数えたら、思っていたのと違う結果が出ました。
18金の「18」は、金がどれくらい入っているかの数字です
金は、そのままだと柔らかすぎてアクセサリーになりません。
爪で押すと形が変わってしまうくらい柔らかい金属なので、他の金属を混ぜて硬くします。
その混ぜ具合を24分割で表したのが「金」の前に付く数字です。
24金は、24分の24。つまりほとんど金だけ。
18金は、24分の18。金が75%で、残りの25%が銀や銅などです。
刻印では「K18」または「750」と書かれます。750は、千分率で750=75%という意味です。
K18は金75%、K10は金41.7%です
同じ数え方でいくと、10金は24分の10になります。
金が41.7%。半分より少し少ないくらいで、残りは銀や銅などの金属です。
刻印は「K10」または「417」です。
金の割合が下がると、そのぶん値段が下がって、そのぶん硬くなります。
細い線や小さな粒を作るときは、10金くらいのほうが形が保ちやすい、という言い方をされることもあります。
色も少し違います。金の割合が高いほど、こっくりした濃い黄色になります。
金メッキは、別の金属に金の膜をかぶせたものです
金メッキは、中身が別の金属です。
真鍮や合金で形を作って、その表面にごく薄い金の層を電気でくっつけます。
厚みはミクロン単位で、髪の毛の太さよりずっと薄い世界です。
見た目は金色で、値段は金無垢よりずっと下がります。
ただ、薄い膜なので、こすれると減ります。減りきると、下の金属の色が出てきます。
「メッキが剥がれる」と言われるのは、この状態のことです。
真鍮は銅と亜鉛の合金で、金は入っていません
真鍮は、銅と亜鉛を混ぜた合金です。英語ではブラスと呼ばれます。
金は一切入っていません。それでも、磨いた直後の真鍮は金色に見えます。
五円玉と同じ仲間、と言うと分かりやすいかもしれません。
真鍮は時間がたつと色が沈んできます。表面が空気と反応して、赤茶けたり、少し緑がかったりします。
これは剥がれているのではなく、表面の性質が変わっているだけです。だから磨けば戻ります。
真鍮そのものについては、以前に一本書いています。よろしければこちらもどうぞ。
【真鍮アクセサリー】おすすめブランド お手入れ方法 ブラスの魅力
当店の1,716点を、一点ずつ開いて数えました
ここからは、当店の棚の実際の話です。
今ページが生きている商品を全部で1,716点、一点ずつ商品ページを開いて、素材欄と説明文を読みました。
検索の件数を数えるだけだと当てになりません。以前、店内検索の数字を信じたら中身がまったく違っていたことがあったので、それ以来こうしています。
結果から書きます。
18金は、0点でした
「18金」「K18」「18K」。この三つの書き方で探して、当店の商品は0点でした。
ついでに「24金」「14金」「純金」も探しましたが、こちらも0点です。
一本もありません。
当店はインポートのアクセサリーと、日本の作家もののお店です。18金の指輪を並べているお店ではないので、当然といえば当然の結果でした。
それでも、自分の店に一点も無いと確かめてから書くのと、そうでないのとでは違うと思ったので、数えました。
10金(K10)なら、26点ありました
意外だったのはこちらです。
素材欄に「K10」または「10K」と書いてある商品が、26点ありました。全部が買える状態です。
26点すべてがルチカというブランドのもので、内訳はピアス25点とネックレス1点でした。
値段は2,200円から13,200円で、真ん中は3,630円でした。26点のうち25点が1万円を切っています。
金が入っているアクセサリーは、高いものだと思っていました。数えてみたら、当店で一番安い金は2,200円のピアスでした。

写真は「蝶 K10 ピアス」の裏側です。
耳に通る軸まで、同じ金色でできています。表も裏も中身も同じ金属だから、こすれても色が変わりません。
真鍮は686点。当店でいちばん多い金属です
説明文のどこかに「真鍮」と書いてある商品は686点でした。うち675点が買える状態です。
素材欄にはっきり真鍮と書いてあるものに絞っても598点あります。
値段は1,540円から37,400円で、真ん中は2,860円でした。
当店の素材と金属アレルギーについてのページにも、ネックレスのチェーンは主に真鍮、モチーフ本体は真鍮・ピューター合金・亜鉛合金・シルバー925、と書いてあります。
当店の金色は、ほとんどが真鍮の金色だ、ということになります。

これは真鍮だけでできた土星のピアスです。素材欄には「真鍮」の二文字しか書いてありません。
それでもこの色です。金は一切入っていません。
素材欄に「メッキ」と書いてあるのは35点だけでした
次にメッキです。
素材欄に「メッキ」と書いてある商品は35点。ずいぶん少ない、というのが最初の感想でした。
書き方はこんな感じです。「真鍮にメッキ」「合金にメッキコーティング」「真鍮にメッキコーティング」。
何のメッキかは、ほとんど書かれていません。
ここで気をつけていただきたいのが「コーティング」という言葉です。
当店の説明文の中で、コーティングはメッキの意味でも使われますが、樹脂粘土の作品に透明の樹脂を塗ることも「レジンコーティング」と呼びます。同じ言葉が二通りに使われています。
金属の話なのか、樹脂の話なのか。素材欄では前後の言葉で判断していただく形になります。
「金メッキ」と金属の名前まで書いてあるのは、5点です
35点のうち、「金メッキ」または「ゴールドメッキ」と、かぶせてある金属の名前まで書いてあるものは5点でした。
そのうちの一本が、この記事の写真に使ったチェーンです。素材欄には「真鍮 金メッキ」とだけ書いてあります。中身が真鍮で、表が金、と読み取れます。

少し上にある10金のピアスの写真と、見比べてみてください。
私は並べて見ても分かりませんでした。片方は金が41.7%入っていて、片方は入っていません。写真の色では区別がつかない、ということです。
商品名に「ゴールド」と入っている品は87点。金が入っているのは8点です
ここがいちばん驚いた数字でした。
商品名に「ゴールド」という文字が入っている商品は87点あります。
そのうち、金が実際に入っているのは8点だけでした。残りの79点は、色の名前としてのゴールドです。
説明文まで広げると「ゴールド」は275点に出てきます。こちらもほとんどが色の話です。
たとえば先ほどの土星のピアスの説明文には「明るいゴールドの星が耳元で揺れる」と書いてあります。素材は真鍮です。
嘘ではないのですが、初めて読む方には分かりにくい書き方だな、と思いました。
当店の説明文に、そのことが既に書いてありました
数えている途中で、13点の商品の素材欄に同じ注意書きが入っているのを見つけました。
「個別に記載されていないものは、真鍮、合金(スズと亜鉛)、もしくは金属部分にメッキ加工がされているアクセサリーです。説明文中のゴールドやシルバーなどの記載はあくまでカラーの記載であり、ゴールド(金)やシルバー(銀)などは使用されていません。」
私が今回1,716点を数えて分かったことが、そのまま書いてありました。
ただ、これが載っているのは13点だけです。残りの1,700点あまりには入っていません。
大事なことなので、全部の商品ページに入れたほうがいいと思いました。順番に直していきます。
見分け方その一。刻印を見る
ここからは、お手元のアクセサリーの見分け方です。
いちばん確かなのは刻印です。
K18・750なら金75%。K10・417なら金41.7%。K14・585なら金58.5%。
「GP」や「18KGP」と付いていたら、それは金メッキです。GPはゴールドプレート、つまりメッキという意味で、下地は別の金属になります。
「GF」は金張りといって、メッキより厚い金の層を圧着してあります。
刻印はネックレスなら留め具のそば、リングなら内側、ピアスなら軸かキャッチにあることが多いです。とても小さいので、明るいところで見てください。
刻印が無ければ金ではない、とまでは言えません。小さすぎて打てないものもあります。ただ、金無垢のものにはたいてい入っています。
見分け方その二。値段を見る
身も蓋もない話ですが、値段はかなり正確な手がかりです。
金は重さで値段が決まる金属なので、同じ大きさなら、金が入っているぶんだけ確実に高くなります。
当店の場合、K10の一番安いピアスが2,200円でした。ただしこれは、モチーフが5mm角ほどしかない、とても小さなピアスだからです。
大ぶりのモチーフで、金色で、数千円。この組み合わせなら、真鍮かメッキだと考えていただいてほぼ間違いありません。
見分け方その三。時間がたったときの変わり方が違います
私はこれが一番分かりやすいと思っています。
金無垢は、基本的に変わりません。18金も10金も、混ぜてある銀や銅がわずかに反応することはありますが、拭けば戻ります。
金メッキは、部分的に剥がれます。指が当たるところ、服とこすれるところから先に減って、そこだけ色が違ってきます。
真鍮は、全体が均一に沈みます。まだらにはならず、全部が同じように赤茶けていきます。
部分的に色が変わったらメッキ、全体が同じように変わったら真鍮。この見方はかなり当たります。
変色そのものの防ぎ方は、香水の記事のほうに詳しく書きました。
香水とアクセサリーはどちらが先?|変色を防ぐつける順番と、香水がかかりにくい場所
磨いていいもの、磨いてはいけないもの
ここは間違えると取り返しがつかないところなので、はっきり書いておきます。
研磨剤の入った布(銀磨き布、シルバーポリッシュクロス)で磨いていいのは、シルバーと真鍮です。表面の変わった層を削って、下から元の金属を出す道具だからです。
メッキのものを同じ布で磨くと、金の層そのものを削ってしまいます。
当店の商品説明にも、シルバーの手入れの説明の直後に「(メッキ製品には不可)」と書いてあります。30点の商品ページに載っている文です。
同じ文の続きには「コーティング(メッキ)の加工を施した製品のお手入れは、柔らかい布で軽く拭く程度が良いです」とあります。
金無垢のものも、柔らかい布で拭くだけで足ります。磨く必要がありません。
迷ったら、乾いた柔らかい布で拭く。これなら何を相手にしても失敗しません。
メッキが剥がれてきたときのこと
剥がれたメッキは、家では戻せません。
直すとしたら、専門の業者さんに再メッキをお願いする形になります。金メッキのかけ直しは、小さなものなら数千円からという価格帯です。
ただ、もとの品物が数千円のアクセサリーだと、かけ直し代のほうが高くつくこともあります。
私の場合は、剥がれてきたら「そういう風合いのもの」として着けてしまうほうが多いです。真鍮が出てきた金メッキの色は、意外と悪くありません。
それが嫌なら、こすれる場所に着けないのが一番の対策です。リングやブレスレットは机や袖と当たり続けるので、どうしても減りが早くなります。
真鍮の色が沈んできたときのこと
真鍮は、戻せます。
研磨剤の入った布で軽くこすると、赤茶けた表面の下から、また金色が出てきます。
ただし、彩色されている商品は別です。当店の真鍮の品には、職人さんが手で色を挿しているものがたくさんあります。そこを磨くと色が落ちます。
磨いていいのは、色が塗られていない金属の地の部分だけ、と考えていただくのが安全です。
しまい方で沈み方はかなり変わります。空気に触れる時間が短いほうが色が保ちます。
アクセサリーの保管方法|変色させない置き方と、ケースの選び方
金属アレルギーの話は、金の割合とは別のところにあります
「18金ならアレルギーが出ない」という言い方を見かけることがあります。
正確ではありません。18金の25%は金以外の金属で、そこに何が混ぜてあるかは商品によります。
金そのものは反応の起きにくい金属ですが、割金の中身次第で症状が出ることはあります。
メッキのものは、肌に触れている面がメッキの層です。剥がれて下地が出てくると、触れている金属が変わります。
当店のピアスは、耳に通る軸のほとんどがサージカルステンレスかチタンです。この話は先日別に一本書いたので、気になる方はこちらを。
サージカルステンレスとは?|ピアスの「サージカルポスト」表記の意味と、金属アレルギーとの関係
迷ったときに、私が出すとしたら
「一生ものが欲しい」ということであれば、当店ではなく、金を扱っているお店をご覧いただくほうがいいと思います。18金は一点もありませんので。
そのうえで、当店から出すとしたらこの三つです。
小さくても本物の金がいい方には、ルチカのK10のピアス。金が41.7%入っていて、軸まで同じ金属なので、こすれても色が変わりません。毎日着けっぱなしにしたい方に向いています。
大きさと金色が欲しい方には、真鍮のもの。同じ値段で、10金より何倍も大きなモチーフが手に入ります。色が沈んだら磨けば戻ります。
ペンダントトップだけ持っていて通す紐が無い、という方には、真鍮に金メッキのチェーン。1,650円です。
どれを選んでも、金色は金色です。ただ、何を買ったのかは知っておいたほうが、長く着けられると思っています。
今日ご紹介した商品
当店で一番安いK10のピアスです。モチーフは0.5×0.4cmで、耳たぶに小さな月がひとつ乗っているように見えます。2,200円。
▶ 「月 ピアス 【Luccica ルチカ】」の商品ページはこちら
写真に使った蝶のK10ピアスです。約3×4mm、キュービックジルコニア付き。3,630円。
▶ 「ルチカ ピアス 蝶 K10 金製 【Luccica ルチカ】」の商品ページはこちら
真鍮だけでできた土星のピアスです。全長約47mmと大ぶりで、それでも2,530円。
▶ 「サタンドロップス ピアス【Palnart Poc パルナートポック】」の商品ページはこちら
真鍮に金メッキをかけた38cmのチェーンです。1,650円。
▶ 「ネックレスチェーン ( 38cm 真鍮製 )【Luccica ルチカ】」の商品ページはこちら
おわりに
1,716点を数える前は、「うちにも金メッキがそこそこあるだろう」と思っていました。
数えたら、素材欄にメッキと書いてあるのは35点、金メッキと書いてあるのは5点。かわりに真鍮が686点出てきました。
18金は0点で、10金は26点。商品名のゴールドは、ほとんどが色の名前でした。
この記事を書いていて、自分の店の説明文に足りないところが見つかったので、そこは直していきます。
素材の話は他にも書いています。よろしければあわせてどうぞ。
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