シルバーの黒ずみの落とし方|重曹とアルミホイルで落ちるものと、磨いてはいけないもの

九月に入って、そろそろ長袖を出そうかと思っている頃です。

夏のあいだ、汗をかくのが気になって、シルバーのネックレスを箱にしまいっぱなしにしていました。

久しぶりに開けたら、黒くなっていました。

この時期、同じことをしている方は多いと思います。

検索すると「重曹とアルミホイルで一瞬で落ちる」という方法がたくさん出てきます。

やり方はあとで書きます。

ただ、その前にひとつだけ確かめてほしいことがあって、今日はそちらを長めにご紹介しようと思います。

結論から書くと、黒ずみは全部落とすのが正解ではありません。

当店の在庫を実際に数えたら、その方法を使わないほうがいい品のほうが多かったので、その数字も一緒に置いておきます。

黒ずみは、汚れではなくて硫化です

シルバーが黒くなるのは、錆びているからではありません。

空気の中や汗の中にある硫黄の成分と、銀がくっついて、表面に硫化銀という膜ができています。

だから、石けんでこすっても落ちません。

汚れが乗っているのではなく、銀そのものが変化しているという状態です。

黒くする原因になるものは、身のまわりにけっこうあります。

汗、温泉、パーマ液、化粧品、ゴム、それから輪ゴムやゴム系の接着剤を使った小物入れ。

しまい方の話は アクセサリーの保管方法|変色・からまり・傷を防ぐしまい方 に別で書いています。

硫化には、二つの落とし方があります。

ひとつは、削り取る方法。銀磨き布やクリーナーがこちらです。

もうひとつが、化学的に元の銀へ戻す方法で、重曹とアルミホイルがこちらになります。

重曹とアルミホイルで落とす手順

用意するものは、耐熱の器、アルミホイル、重曹、お湯だけです。

手順にすると、こうなります。

1. 耐熱の器にアルミホイルを敷きます。つやのある面を上にします。
2. アクセサリーを、アルミホイルに触れるように置きます。
3. 重曹を大さじ一杯ほど振りかけます。
4. 八十度くらいのお湯を、かぶるまで注ぎます。
5. 一分から五分ほど待ちます。
6. 取り出して、水でよくすすぎます。
7. 柔らかい布で、水分を残さないように拭きます。

泡が出て、少し硫黄のにおいがします。

アルミのほうが銀より硫黄と結びつきやすいので、硫黄がアルミ側へ移っていきます。

銀は削れません。ここが磨くのとの違いです。

熱いお湯を使うので、やけどにだけは気をつけてください。

私の場合は、洗面器ではなく小さめの器でやっています。お湯の量が少ないほうが、温度が保てて短く済みます。

この方法は「全部いっぺんに白くなる」のが難点です

よく効きます。効きすぎる、と言ったほうが近いかもしれません。

お湯に浸かった面は、全部同じように白くなります。

彫りのくぼみも、いぶした部分も、区別なく戻ります。

つるんとした一枚板のリングなら、それでいいと思います。

困るのは、陰影で形を見せている品のほうです。

それから、次のものが付いているときは、この方法は使わないでください。

石、パール、貝、樹脂、革、布。
接着剤でくっつけてある部分。
メッキがかかっているもの。
真鍮やピューターと組み合わせてあるもの。
いぶし仕上げ、アンティーク仕上げと書いてあるもの。

パールは特に弱いです。熱と重曹の両方が苦手なので、お湯に入れた時点で表面が曇ります。

真鍮との組み合わせも、真鍮側だけ色が変わって、ちぐはぐになります。

素材ごとの性格については 【真鍮アクセサリー】おすすめブランド・お手入れ方法・ブラスの魅力 と 【シルバーアクセサリー】おすすめブランド・お手入れ方法・魅力や歴史 にまとめてあります。

店の在庫277点を、磨けるものと磨かないほうがいいもので分けてみました

記事を書くのに、当店の商品ページを全部読み直しました。

在庫のある1,716点の説明文をひととおり集めて、素材欄にシルバーと書いてあるものを数えたのが、こちらです。

シルバーの品は277点。数にすると539個ありました。

内訳は、英国製のシルバーチャームが146点、林檎屋が48点、デコヴィーニャが32点、ホアシユウスケが23点、パッショーネが15点。

そのうえで、お手入れについて何か書いてある品を数えました。

・黒ずみについて触れている……3点
・「磨き布や洗浄液のご使用はおやめください」と書いてある……35点
・銀磨き布やシルバークロスを勧めている……23点
・いぶし、燻しという言葉が出てくる……24点
・お手入れについて何も書いていない……216点

277点のうち216点が、何も書いていない状態でした。

これは店の側の宿題だと思っています。順番に直していきます。

それでも、書いてある61点の中身を見ていくと、方針がはっきり二つに分かれていました。

「磨き布や洗浄液は使わないでください」と書いてある品が35点ありました

デコヴィーニャ32点と、ariam3点。

説明文には、こう書いてあります。

汗などは柔らかい布でやさしく拭き取り、磨き布や洗浄液の使用はやめてほしい。白仕上げのものだけはシルバー洗浄液が使える。

理由は、見ればわかります。

シマリスの ピアス(デコヴィーニャ)シルバー925に色付けをした片耳ピアス

こちらは シマリスの ピアス(DECO vienya)。

素材はシルバー925と合成サファイア。9,350円(税込)で、在庫は2個です。

背中のしましま、目のまわりの白、尻尾の黒。

この色は、あとから一つずつ手で付けられています。

磨き布は超微粒子とはいえ研磨剤なので、こういう品にかけると色ごと持っていかれます。

重曹とアルミホイルも、同じ理由で向きません。

この手の品は、乾拭きだけで十分です。着けたあとに柔らかい布で拭いて、しまう。それ以上はしないほうが長持ちします。

▶ 「シマリスの ピアス 【DECO vienya / デコ ヴィーニャ】」の商品ページはこちら

彫りのくぼみは、黒く沈んだままのほうが形が読めます

黒ずみについて書いてあった3点は、林檎屋が2点と、ニック・ハバードが1点でした。

どれも同じことが書いてあります。

彫りのくぼみは黒く沈んだままのほうが形が読めるので、磨くときは平らな面だけにしてほしい、と。

ウルフホイッスル シルバーチャーム(ニック・ハバード)唐草の彫りが入ったシルバー925の笛

こちらが ウルフホイッスル シルバーチャーム(Nick Hubbard)。

素材はシルバー925、大きさは約20mm。5,500円(税込)で、在庫は2個です。

笛のかたちをしていますが、吹いても鳴りません。かわりに、下の縁の爪を外すと開きます。中に狼が一匹立っています。

写真を見ていただくと、側面に唐草がびっしり彫ってあります。

この唐草が読めるのは、溝が黒く、山が白いからです。

重曹とアルミホイルに沈めると、溝も山も同じ白さになります。

きれいになったのに、模様が見えなくなる、という妙なことが起きます。

なので、こういう品は銀磨き布で、指の腹が当たる平らなところだけを撫でます。

溝には布を押し込まない。それだけで、だいぶ違います。

チャームの扱いについては シルバーチャームの使い方|チェーンへの付け方と、ひとつずつ足していくチャームブレスレット のほうにまとめてあります。

▶ 「ウルフホイッスル シルバーチャーム 【Nick Hubbard ニック・ハバード】」の商品ページはこちら

パーライオン リング(林檎屋)たてがみの筋と唐草の彫りが入ったシルバーの指輪

同じ理由の品を、もう一点。パーライオン リング(林檎屋)です。

頭のてっぺんに花が咲いたライオンの指輪で、素材はシルバー。15号のワンサイズ。10,399円(税込)、在庫は2個です。

顔の左右にたてがみが筋になって流れていて、腕の左右には唐草が入っています。

指の裏側は平らな輪になるので、磨くならそこだけ。

たてがみの筋が白く戻ると、百獣の王の顔が、のっぺりします。

▶ 「パーライオン リング 【林檎屋】」の商品ページはこちら

いぶし銀は、落とすものではなく持ち味です

在庫のシルバー277点のうち24点に、いぶし、燻しという言葉が出てきました。23点がホアシユウスケ、1点がデコヴィーニャです。

説明文には、硫化した銀はいぶし銀とも呼ばれてシルバーの持ち味であり、純度や品質が原因ではない、と書いてあります。

この24点は、作るときにわざと黒くしてあります。

重曹とアルミホイルに入れると、その仕上げが一回で消えます。

戻せません。作家に頼み直すことになります。

買ったときから黒っぽかったものは、いぶしを疑ってください。

だんだん黒くなってきたものが、自然な硫化です。

この見分けがつかないときは、触らないでおくのがいちばん安全だと思います。

いちばん軽いところから、順に試す

迷ったときの順番を、弱いほうから並べておきます。

1. 柔らかい布で乾拭きする。
2. ぬるま湯に中性洗剤を少し溶かして、古い歯ブラシでやさしく洗う。すすいで、水気を残さず拭く。
3. 銀磨き布で、平らな面だけを撫でる。
4. シルバー用の洗浄液に、ごく短く浸ける。
5. 重曹とアルミホイル。

上の二つは、どんな品にもだいたい使えます。

3から下は、素材と仕上げを確かめてからにしてください。

2の中性洗剤で落ちるのは、皮脂と化粧品の汚れです。硫化そのものは落ちません。

それでも、汚れが乗ったまま磨くと傷の原因になるので、順番としては先にやります。

洗ったあとに水気が残っていると、そこからまた黒くなります。拭き上げがいちばん大事です。

重曹という言葉は、店の説明文に一度も出てきませんでした

今回、在庫1,716点の説明文を検索してみて、意外だったのがこれです。

重曹という言葉は、0件でした。

このブログの過去記事を全部横断して調べても、0件です。

硫化や硫黄という言葉が出てくるのも23点だけで、それも一つの作家さんの定型文でした。

つまり当店は、シルバーを277点も置いておきながら、黒ずんだときどうするかをほとんど書いてこなかった、ということになります。

数えてみて、これは書いておかないといけないと思いました。

落とすより、遅らせるほうが楽です

硫化は止められません。空気に硫黄がある以上、いつかは黒くなります。

ただ、速さはだいぶ変えられます。

・外したら、その日のうちに乾いた布で拭く
・チャックの付いた小袋に一つずつ入れて、空気を抜いてしまう
・ゴム、輪ゴム、ゴム系の接着剤を使った箱を、そばに置かない
・洗面所や浴室の近くに置きっぱなしにしない
・化粧品と香水を先に済ませて、最後に着ける

最後の一つについては 香水とアクセサリーはどちらが先?|変色を防ぐつける順番 に詳しく書きました。

拭くのは、着けたあとの十秒です。

これをやっているかどうかで、半年後の色がまったく違います。

私の場合は、玄関に布を一枚出しっぱなしにしています。しまう場所の近くに置いておかないと続きませんでした。

かぶれが出たときは、お手入れの話ではありません

黒ずみが肌に移って、首や指が黒くなることがあります。

これは硫化銀が擦れて付いているだけなので、洗えば落ちます。

かゆみや赤みが出ているときは、別の話になります。

その場合は使うのをいったんやめて、お医者さんに相談してください。素材の選び方は 金属アレルギーとアクセサリーの素材|真鍮・シルバー925・ピューターは着けられる? にまとめてあります。

おわりに

重曹とアルミホイルは、よく効く方法です。

つるんとした無地のシルバーが、一日しまい忘れて黒くなった。そういうときには向いています。

ただ、彫りのあるもの、色が付いているもの、いぶしてあるもの、石やパールが付いているもの。

当店の在庫でいうと、シルバー277点のうち、そのどれかに当てはまる品がかなりの数あります。

お手持ちの一点がどちらなのか、買ったときの説明を一度見てから決めていただけたらと思います。

迷ったら、乾拭きだけにしておく。それで困ったことは、今のところありません。

▽ 素材のことを、もう少し詳しく

【シルバーアクセサリー】おすすめブランド・お手入れ方法・魅力や歴史
【真鍮アクセサリー】おすすめブランド・お手入れ方法・ブラスの魅力
【ピューターってなに?】ピューター製のアクセサリーについて

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