パールのお手入れ|本真珠・コットンパール・プラパールで違う拭き方と、してはいけないこと
九月に入って、汗をかく日が少しずつ減ってきました。
この時期になると、夏のあいだしまいっぱなしにしていたパールを出してくる方が増えます。
それで、久しぶりに箱から出したら白さがくすんでいた、というご相談をいただきました。
お手入れの方法をお伝えしようと思って調べはじめたら、当店のパールは思っていたのと違う中身でした。
今日はその話をご紹介しようと思います。
パールのお手入れは、どのパールかで変わります
パールと呼ばれているものには、何種類もあります。
貝が作った本物の真珠もあれば、綿を丸めて塗装したものも、プラスチックに塗装したものもあります。
見た目はどれも白くて丸いので、並んでいると区別がつきません。
けれど中身が違うので、拭き方も、してはいけないことも、それぞれ違います。
本物の真珠に良いことが、綿のパールには最悪ということが起きます。
なので、手入れの前にどれなのかを確かめるところから始めることになります。
当店のパールを五十三点、数えてみました
記事を書くにあたって、在庫にあるパールものを全部数えました。
商品名にパールが入っていて、今日買える状態のものが五十三点、個数にして九十一個です。
内訳はこうなりました。
貝が作った本物の真珠が十二点。うち淡水パールが十点、タヒチパールが二点です。
コットンパールが六点。プラパール、アクリルパールが七点。貝パールが二点。
そして、種類が書かれていないものが二十六点でした。
五十三点のうち半数が「パール」としか書いていない、という結果です。これについては最後にもう一度書きます。
数えてみて意外だったのは、いわゆる真珠のネックレスで思い浮かべる白い一連のものが、当店には一本も無いことでした。
本真珠らしい本真珠は、タヒチパールのペンダントトップ(二万七千五百円・税込)とラリエットネックレス(三万七千八百四十円・税込)の二点だけです。
残りは、耳もとで揺れる小さなパールが中心でした。
本物の真珠(淡水パール・タヒチパール)のお手入れ
貝が作った真珠は、炭酸カルシウムとたんぱく質の層が何重にも重なってできています。
この層が薄いので、酸に弱いです。
汗、化粧品、整髪料、香水。どれも酸性のものが多くて、付いたまま置いておくと表面が曇ります。
やることは一つで、外したらその日のうちに乾いた柔らかい布で拭きます。
力はいりません。表面を撫でるくらいで足ります。
汚れがひどいときだけ、水で濡らしてかたく絞った布で拭いて、そのあとすぐ乾いた布で水気を取ります。
水に浸けるのは避けたほうがいいです。真珠には穴が開いていて、そこから中に水が入ると乾きません。
糸を通してあるものは、その糸が傷みます。
それから、乾きすぎるのも苦手です。
乾燥剤をたっぷり入れた箱に何年も入れっぱなしにすると、ひび割れることがあります。私は乾燥剤を入れないでしまっています。

当店の淡水パールから一点ご紹介します。
Luccica(ルチカ)の「淡水パールのピアス」です。
形の揃っていない淡水パールが、シルバーカラーの小さなビーズと一緒に揺れます。
長さは最長で約五・五センチ、パールは約八ミリ。素材はニッケルフリーの金具と淡水パールです。
価格は二千四百二十円(税込)、在庫は二個です。
淡水パールは一粒ずつ形が違います。左右で少し表情が違うのが、この素材のいいところだと思っています。
コットンパールのお手入れ
コットンパールは、綿を圧縮して球にして、その上からパールの塗装をかけてあります。
中身が綿なので、驚くほど軽いです。大きいのに重くない、というのが選ばれる理由だと思います。
その代わり、水は本当にだめです。
綿は水を吸います。中が湿ると膨らんで、表面の塗装が内側から押されて浮きます。
濡れた布で拭くのも避けてください。本真珠なら許されるかたく絞った布も、コットンパールには使わないほうが安全です。
お手入れは、乾いた布で軽く撫でるだけです。
こするとパール塗装が削れて、下の綿の色が出てきます。一度出てしまうと戻せません。
雨の日に着けていくのも、できれば避けたい素材です。

KAZA(カザ)の「コットンパール バックキャッチ スワロフスキー ピアス(ベージュ)」です。
コットンパールが直径十二ミリ、スワロフスキーが五ミリ。素材は真鍮、コットンパール、スワロフスキー、サージカルポストです。
価格は二千二百円(税込)、在庫は二個です。
スワロフスキーを前にしても、コットンパールを前にしても着けられます。
アンティークのような、少しくすんだ色合いが出ているのがコットンパールの持ち味です。この風合いを守るという意味でも、水は避けてください。
▶ 「コットンパール バックキャッチ スワロフスキー ピアス(ベージュ)」の商品ページはこちら
プラパール・アクリルパールのお手入れ
プラパールは、樹脂の球にパールの塗装をかけたものを指します。アクリルパールも同じ仲間になります。
当店の商品説明では、プラパールという書き方をしています。
この素材で気をつけたいのは、塗装が溶ける薬品です。
除光液、消毒用アルコール、香水。この三つが付くと、白い膜が曇ったり、べたついたりします。
爪を塗った直後の手で触るのも避けたほうがいいです。
水そのものには強いので、汗が付いたら乾いた布で拭けば足ります。
香水との順番については、香水とアクセサリーはどちらが先?に詳しく書いています。パールの場合はとくに、香水が乾いてから着けてください。

Luccica(ルチカ)の「knot pearl ピアス」です。
小さなパールが集まって、花が咲いたような形になっています。
大きさは一・一センチ角、パールは三ミリと一・五ミリの二種類。素材はプラパールと合金で、ピアスの軸はステンレスです。
価格は千九百八十円(税込)、在庫は四個です。
三ミリのパールが揃うと、一粒のパールとは違う華やかさが出ます。日常に着けやすい大きさだと思います。
貝パールのお手入れ
貝パールは、貝殻を砕いて固めた核に、パールの層を塗り重ねてあります。
中身が硬いぶん、コットンパールよりは扱いやすいです。
当店にある二点のうち、Luccicaの「ワンパール ピアス(K14GF)」の商品ページには、めずらしくお手入れの記載がありました。
水や石鹸は避けること。触れてしまったら乾いた布ですぐ拭くこと。研磨剤入りの金属用クロスは表面を削るので使わないこと。
この三つが書いてあって、そのまま他のパールにも当てはまる内容でした。
もう一点は、Nick Hubbard(ニック・ハバード)の「貝パール シルバーチャーム」です。アコヤ貝が開いて、中に小さな真珠が入っている二十ミリのチャームで、こちらは本体がシルバー925になります。
どのパールにも共通して、してはいけないこと
種類が分からないときは、この四つだけ守っていただければ大きな失敗はしません。
一つめ、研磨剤の入った磨き布を使わないこと。
シルバー用のクロスには研磨剤が入っています。銀を磨くための布なので、パールに使うと表面を削ります。
当店ではシルバーの品に銀磨き布をおすすめしていますが、パールが付いているものはパールを避けて金属部分だけにしてください。金属側の話はシルバーの黒ずみの落とし方にまとめています。
二つめ、超音波洗浄機に入れないこと。
眼鏡や指輪をきれいにするあの機械です。パールは接着で留めてあることが多いので、振動で外れます。
三つめ、薬品を近づけないこと。
除光液、アルコール、漂白剤、洗剤。どれも塗装や真珠の層を傷めます。
四つめ、最後に着けて、最初に外すこと。
支度がすべて終わってから着ける。帰ったらいちばんに外す。これだけで、付く汚れの量がかなり変わります。
しまい方についてはアクセサリーの保管方法に書きました。パールは他の石より柔らかいので、金属と直接触れないところに置いてください。
種類が書かれていない二十六点のこと
ここは店の側の話になります。
五十三点のうち二十六点は、素材欄にパールの種類が書かれていませんでした。
金具のことだけ書いてあって、肝心のパールが何なのか分からないものもあります。
さらに言うと、パールそのもののお手入れに触れている商品ページは、五十三点のうち一点だけでした。
どう扱えばいいですかと聞かれて答えられない状態にしていたということで、これは順番に直していきます。
当面は、種類が分からないパールは前の章の四つを守っていただくのが安全です。
見分けの目安を書いておくと、手に持って驚くほど軽ければコットンパール、少し重みがあって表面がひんやりするなら本物の真珠のことが多いです。
気になる商品があれば、お問い合わせいただければ仕入れ先に確認します。
おわりに
真珠そのものの成り立ちや種類については、パール(真珠)の魅力に書いています。宝石言葉や見分け方は、そちらのほうが詳しいです。
喪の席にパールを着けていくときの選び方はお葬式・お通夜・法事のアクセサリーに、金属部分の素材については金属アレルギーとアクセサリーの素材にまとめました。
贈りものとして選ぶ場合は、プレゼントに選ぶアクセサリーのガイドもご覧ください。
パールは、着けた日に拭くかどうかで十年後が変わる素材だと思っています。
難しいことは何もなくて、外したときに一度撫でるだけです。
箱から出したときにくすんでいた、という日が来ないように、今日から一枚布を用意しておいていただけたらうれしいです。