アクセサリーの石が取れたら接着剤で付けていい?|瞬間接着剤が白くにごる理由と、在庫1,698点を調べたこと

九月に入って、引き出しの中を少しずつ入れ替えています。

夏のあいだ出しっぱなしにしていたものを奥へ、秋に着けたいものを手前へ、という感じです。

その途中で、小さい石がひとつ、引き出しの底に転がっているのを見つけました。

どれから落ちたのか、しばらく分かりませんでした。

「石が取れてしまったのですが、接着剤で付けてもいいですか」というご相談は、当店にもときどき届きます。この時期に増えるのは、しまっていたものを久しぶりに出す方が多いからだと思っています。

今日は、アクセサリーの石やパーツが取れたときの話を書こうと思います。接着剤を使っていいのか、使うなら何を使うのか、というところです。

当店の在庫1,698点を全部調べたので、その数字も一緒に置いておきます。調べてみたら、店として直さないといけないことが見つかりました。

石は「はまっている」のではなく、載せて留めてあります

石やガラスの留め方は、大きく二つに分かれます。

ひとつは、金属の爪で押さえてあるもの。指輪の宝石を思い浮かべていただくと早いと思います。石のまわりに小さな爪が三つか四つ立っていて、それが曲げて倒してあります。

もうひとつが、くぼみに石を置いて、接着剤で留めてあるやり方です。

お手ごろな価格帯のアクセサリーは、ほとんどが後者だと思っていただいていいです。カットガラスもラインストーンも、樹脂のパールも、台のくぼみに落として、裏から接着剤で固めてあります。

爪で留めるのは手間がかかるので、そのぶん値段に出ます。

つまり「石が取れた」というのは、多くの場合、接着剤が役目を終えたということです。石そのものが壊れたわけでも、金具が壊れたわけでもありません。

接着剤は、汗と水と温度で少しずつ弱ります。夏をひとつ越えるとゆるむ、というのはそういうことだと理解しています。

瞬間接着剤だけは、使わないでください

手近にあるのがそれだと思います。私の家にもあります。

それでも、アクセサリーの石に瞬間接着剤を使うのはやめたほうがいいです。

理由は三つあります。

一つめ。固まるときに成分が少しだけ気化して、まわりに白い曇りとして戻ります。石の表面と、その脇の金属が白くにごります。透明な石ほどよく目立ちます。これは拭いても取れません。

二つめ。固まったあとが硬くて、粘りがありません。付いてはいるけれど衝撃に弱いので、また同じところから取れます。しかも二度目は、前の接着剤が残っているぶん、きれいに付きません。

三つめ。さらさらしていて、意図しないところまで走ります。指輪の内側や、回る部分や、チェーンのつなぎ目まで流れていって、そこで固まります。

使うなら、二液を混ぜて使うエポキシの接着剤です。固まるまでに時間がかかりますが、すき間を埋めてくれますし、白くにごりません。手芸店やホームセンターの接着剤の棚に、小さいものが置いてあります。

付けるときは、石ではなく台のくぼみのほうに、つまようじの先で米粒よりずっと少なく置きます。石を落として、はみ出したら固まる前に拭き取る、という感じです。

在庫1,698点を調べたら、「接着」という言葉が一度も出てきませんでした

ここからが、調べていて手が止まったところです。

今日いま買える状態の在庫が1,698点あります。そのうち、素材欄に石やガラスや樹脂が入っているもの、つまりどこかが接着で留まっているはずのものが599点。三点に一点よりも多い割合です。

その1,698点の商品ページを全部読んで、「接着」という言葉を探しました。

0件でした。「接着剤」も「ボンド」も、ひとつも書かれていません。

石が取れたときのことに触れているページは、1,698点のうち2点だけありました。どちらも今日ご紹介する星座早見盤のリングで、色違いです。

それから「留めてあるだけです」と書いてあるページが3点。これは当店で書き直したページなので、まだ3点しか進んでいない、ということでもあります。

599点のうち、強い力や衝撃に気をつけてくださいと書いてあるのは11点。残りの588点には、何も書いていません。

素材欄の「エポキシ樹脂」は、石を留めている接着剤のことです

では、接着剤のことがどこにも書かれていないのかというと、そうでもありませんでした。

素材欄です。

「エポキシ樹脂」と書いてある商品が139点ありました。ルチカが134点、KaZaが5点です。

ガラス、真鍮、合金、エポキシ樹脂。素材の列にさらっと並んでいるので、素材の一種だと読んでしまいます。私も長いことそう思っていました。

これが、さっき書いた二液のエポキシです。石を留めている接着剤そのものが、素材欄に名前で載っていた、ということになります。

読む人にそこまで求めるのは無理があると思ったんですよね。

カットガラスを使っているものは96点あって、全部パルナートポックでした。樹脂のパールは79点、コットンパールは26点。この三つは、どれも接着で留まっています。

素材の読み方そのものについては、ピューターってなに?にも書きました。ピューターはやわらかい金属なので、石のまわりの縁がゆがむと、そこから石が落ちます。

星座早見盤リングの盤面。カットガラスが星に見立てて散りばめられている

石が取れたとき、最初にすること

石を探してください。これがいちばん大事です。

同じ大きさ、同じ色、同じカットの石は、あとから手に入りません。取れた本人がいれば戻せますが、無くすと戻せなくなります。

掃除機をかける前に、床と、服の折り返しと、洗面台のまわりを見てください。小さいものほど遠くまで転がります。

見つかったら、セロハンテープに貼って紙に留めるか、小さい袋に入れて、本体と一緒にしておきます。テープの粘着面に貼りつけておくのが、いちばん無くしません。

それから、台のくぼみを見てください。前の接着剤が薄い膜になって残っていることが多いです。爪の先で軽くこすると、ぽろっとはがれます。ここをきれいにしないと、新しい接着剤を足しても浮きます。

残りの石もゆるんでいないか、爪の先で一つずつ触って確かめておくといいです。一つ落ちたということは、ほかも同じだけ時間が経っているという感じなので。

自分で付け直していいもの、やめたほうがいいもの

おうちで直していいと思うのは、こういうときです。

・平たいくぼみに、石が面で乗っているだけのもの
・爪が立っていないもの
・取れた石が手もとにあるもの
・失敗しても諦めがつくもの

反対に、触らずに相談していただいたほうがいいのは、このあたりです。

・金属の爪で留めてあるもの。爪を素人が起こすと、石が飛びます
・回る部分、動く部分があるもの。接着剤が流れ込むと二度と動きません
・めっきの上に石が乗っているもの。はみ出しを拭くときに色が剥げます
・思い入れのあるもの、値の張るもの

当店でお買い上げいただいたものでしたら、直せるかどうかの見立てだけでもお受けしています。写真を送っていただければ、たいていは判断できます。

石ではなく、チェーンやトップが外れたという場合は直し方が別になります。そちらはネックレスのチェーンが外れた・切れた時の直し方に書きました。丸カンが開いただけのことが本当に多いので、先にそちらを見てみてください。

今日の一点|星座早見盤 リング(GD)

パルナートポックの「星座早見盤 リング(GD)」をご紹介しようと思います。

その季節に見える星座を調べるための星座早見盤が、そのまま指輪になっています。盤は実際に回ります。回して、日付と時刻を合わせる、あの動きがそのまま入っています。

盤の上に散っている小さな光が、カットガラスです。そのうち三つだけ、ほかと色が違うものが隠れています。夏の大三角のつもりだそうです。

この商品を今日の一点にしたのは、当店の1,698点で唯一、石が取れたときのことを書いているページだからです。

「石取れが発生した場合、場所によっては修理不可となる場合があります」と書いてあります。

回る盤の下に入り込んだ石は、盤を外さないと戻せません。外すとギミックが壊れます。だから場所によっては直せない、という意味だと理解しています。

隠さずに書いてあるページだと思いました。こういうことは、買う前に知っておきたいことです。

星座早見盤リングを横から見たところ。フリーサイズの輪が後ろで開いている

サイズはフリーサイズで、11号がベースです。素材は真鍮とカットガラス。税込9,460円、在庫は残り2点です。

真鍮なので、使っているうちに色が変わります。それは汚れではなく、この指輪の見た目が落ち着いていく変化のほうです。

回る盤は、指にはめたままでも回せます。ただ、無理に速く回さないほうがいいです。回すときは、盤のふちに指を当てて、ゆっくり。

星座早見盤リングを実際に指にはめたところ

▶ 「星座早見盤 リング (GD)」の商品ページはこちら

取れにくいものを選びたいときに見るところ

石が取れるのが怖いから石のないものを、という考え方もあると思います。

同じ考えで選ぶなら、見るところは三つです。

石が深く沈んでいるか。ふちが石の高さより上に来ているものは、ぶつけても石に先に当たりません。石が台からぽこんと飛び出しているものほど、外からの力を直に受けます。

石の数。三十粒付いているものは、三十か所ゆるむ場所があるということです。数が少ないほうが、日々の当たりは減ります。

そして、そもそも石が付いていないもの。ひとつの金属から形が出ているものには、取れる部品がありません。

パルナートポックの「ルナピアス」は、濃い青の盤に小さなカットガラスが並んでいて、いちばん上でひときわ光るのが北極星です。ピューターとカットガラスで、モチーフは縦約24mm×横約21mm。石は面に浅く並んでいるので、外したら硬いところに置かずに布の上へ、という置き方が向いています。税込6,380円、在庫は残り3点です。

▶ 「ルナピアス」の商品ページはこちら

ルチカの「JOHN ピアス (BL×GD)」は、犬の顔が2.1×1.6cm、輪が直径1.8cm。素材欄にガラス、ポリエステル樹脂、真鍮、合金、エポキシ樹脂と並んでいます。さっきの139点のうちの一点です。顔の部分がガラスで、それをエポキシで留めてある、という読み方になります。税込2,640円、在庫は残り4点です。

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石が付いていないほうの例として、当店で作っている「レンコンチップス ピアス」も置いておきます。素材はピューターだけで、モチーフは21mm×20mm。薄切りにした蓮根の、ひらっと波打ったところを写しました。接着で留めてある部品がひとつもないので、取れる石もありません。税込2,090円、在庫は残り8点あります。

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599点に、書き足していきます

599点のうち11点、という数字は、店として胸を張れるものではありません。

石がどう留まっているかは、買ってから何年も付き合うことになる話です。それを書かずに売っていました。

石やガラスを使っている599点に、「石は台に置いて留めてあります」という一文を足していきます。カットガラスの96点と、エポキシ樹脂と書いてある139点から始めます。

素材欄の「エポキシ樹脂」も、それが接着剤だと分かる書き方に直します。

数が多いので時間はかかります。それでも、少しずつ進めます。

おわりに

石がひとつ取れただけで、そのアクセサリーは急に古びて見えます。

私の場合は、そこで一度しまい込んでしまって、そのまま何年も出さない、ということをよくやりました。

取れた石さえ手もとにあれば、戻せるものはけっこうあります。捨ててしまう前に、引き出しの底を見てもらえたらうれしいです。

お手入れのしかたはアクセサリーの保管方法に、どなたかへ贈るときはアクセサリーのギフトガイドを合わせてご覧いただけたらと思います。

今日も長くなりました。最後まで読んでくださってありがとうございます。

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