雨の日が、少しだけ好きになる。傘で空へさらわれる黒猫のペンダント「風にのる猫」ホアシユウスケ
雨の匂いがする朝のことです。
窓の外はまだ薄暗くて、傘立ての傘がひとつ、ぽつんと出番を待っていました。
こういう日は、なんとなく気持ちが下を向きます。
髪も広がるし、靴も濡れる。誰でもそうだと思います。
でも、この子を胸元に連れていく日だけは、少しだけ違うんです。
ホアシユウスケさんの「風にのる猫」。
傘にぶら下がった黒猫が、空へさらわれていく、小さなペンダントです。

今日は、この一点のことを、少しゆっくりお話ししようと思います。
強い風が吹いた、その一瞬のこと
想像してみてください。
風の強い、雨の日。
傘をさして歩いていて、ふいに、下からぐんと突き上げるような風が吹く。
傘が、生きもののように反り返る。
体がわずかに浮く。
子どもの頃、あの瞬間に「このまま飛べるんじゃないか」と、本気で思ったことはありませんか。
映画で見た、傘をさして空をゆく人のように。
この「風にのる猫」は、まさにその一瞬を、そのまま閉じ込めたような姿をしています。
猫は、傘の持ち手を前足でぎゅっとつかんでいます。
体は風にあおられて、宙で泳ぐみたいに伸びている。
落ちたくない、でも、この浮遊感を手放したくもない。
そんな、必死さと高揚が同居した表情です。
後ろ足に、いちばん惹かれました
私がこの子を初めて手に取ったとき、思わず見入ってしまったのは、実は後ろ足でした。
傘をつかんでいるのは前足です。だから、力が入っているのは分かる。
でも、この作家さんは、どこにもつかまっていない後ろ足にまで、きちんと力を通しているんです。
指の一本一本が、ぴんと張っている。
空気を蹴って、なんとか姿勢を保とうとしている。
それを見た瞬間、これはただの飾りじゃないな、と思いました。
この子は、いま本当に、風と格闘しているんだと。
猫って、自由でマイペースな生きものですよね。
でもこの子は、ちょっと違います。けなげで、一生懸命で、目が離せない。
気づいたら、心の中で「がんばれ」と応援していました。
手のひらの中の、小さな空

造形の話も、少しだけ。
猫の体は、シルバー925の燻し仕上げ。
傘は真鍮。チェーンもシルバー925です。
トップは4センチほど。チェーンは約50センチ。
胸元に下ろすと、ちょうど視線が集まるあたりで、そっと揺れます。
燻し仕上げの黒は、つやつやした黒ではありません。
雨雲のような、少しくすんだ、深い黒。
これが黒猫の毛並みに、驚くほど似合います。
光の加減で、背中のあたりがふっと銀色に浮かび上がる瞬間があって、そのたびに、本物の猫を見ているような気持ちになります。
シルバー925は、長く付き合える素材です。
使い込むほどに表情が深まって、いつしか「自分だけの一点」になっていく。
この子は、そういう育て方のできるアクセサリーだと思います。
この子に、名前がついた理由
「風にのる猫」という名前には、由来があります。
作家のホアシさんが、この作品に一篇の詩を添えているんです。
おおまかに言うと、こんな情景です。
風の強い雨の日、傘をさして外へ出る。
強い風が吹いた瞬間にジャンプしたら、映画で見た「傘で空を飛ぶ人」みたいに、ほんの少しだけ、空を飛べた気がした。そんな情景です。
この詩を読んでから、私の中で、このペンダントの見え方がまるきり変わりました。
ただの猫のモチーフではないんです。
誰もが子どもの頃に一度は抱いた、あのささやかな夢。
「傘で、飛べるかもしれない」という、あの気持ちが、そのまま形になっている。
そう思うと、必死に風にしがみつくこの子の姿が、いっそう愛おしく見えてきます。
憂鬱な日に、そっと連れ出したい

私の場合は、こういう物語のあるアクセサリーは、あえてシンプルな服に一点だけ合わせるのが好きです。
黒でも、白でもいい。
無地のニットやシャツの胸元に、この猫がひとつ。
それだけで「あ、なんかいいな」という空気が生まれます。
いちばんおすすめしたいのは、雨の日です。
傘で飛んでいる猫ですから、雨の日ほど似合う日はありません。
気持ちが沈みがちな朝も、胸元でこの子が風と戦っていると思うと、なんだか肩の力が抜けるんです。
今日の自分も、この子みたいに、なんとか飛んでいこう。
そんなふうに、そっと背中を押してもらえる気がします。
猫好きの方への贈りものにも、よく選ばれます。
ありふれた猫モチーフとは、少し違いますから。
「こんなの初めて見た」と、驚いて喜んでもらえることが多いんです。
作家・ホアシユウスケさんのこと
この子を生み出したのは、ホアシユウスケさんという作家です。
日々の暮らしの中で感じたこと、見たこと、思ったこと。
それを、アクセサリーや絵や詩という形に変えていく方です。
自分の名前を、そのままブランド名にしている。
それは「自分の表現に嘘はつかない」という、静かな決意のあらわれなのだそうです。
ホアシさんの根っこにあるのは、「アクセサリーは最小のアート」という考え方。
身につける人の力になったり、思い出のよすがになったり。
そう願いながら、ひとつひとつを手仕事で仕上げています。
だから、この作家さんの作品には、必ず物語が宿っています。
それを知ってから身につけると、また違ったあたたかさで、大切にできると思います。
ホアシユウスケさんの他の作品も、よかったら覗いてみてください。
▶ ホアシユウスケさんの作品一覧を見る
最後に
「風にのる猫」は、税込13,200円。
シルバー925の確かな作りで、作家さんの手仕事による一点ものです。
同じ表情のものは、二つとありません。
ここまで言葉を尽くしても、やっぱり伝えきれないものがあります。
あの後ろ足の張り。燻し銀の深い黒。風にさらわれる、その一瞬の高揚感。
それは、実物の写真でこそ伝わるものだと思うんです。
気になった方は、ぜひ一度、この子の姿を見てあげてください。
▶ 猫好きさんへのプレゼントをお探しなら、猫モチーフアクセサリー10選|誕生日・記念日のプレゼントにもどうぞ。