ブローチのつけ方|服に穴が開くのを防ぐ留め方と、重くて垂れるときのコツ
八月に入って、朝晩の風だけ少し変わってきました。
日中はまだ暑いので、薄手のシャツやリネンのワンピースを着る日が続いています。
そういう服は涼しくて助かるのですが、胸もとが少しさびしく見えることがあります。
ブローチをひとつ留めるだけで、そこがぐっと変わります。
ただ、ブローチについては時々ご相談をいただきます。
「留めたら服に穴が開いてしまった」
「重いものが前に垂れてきて、うまく留まらない」
私も薄いブラウスで同じことをやってしまったことがあります。
今日はブローチのつけ方について、私が普段気をつけていることをまとめてご紹介しようと思います。
ブローチで服に穴が開いてしまう理由
穴が開くとき、原因はだいたい三つに分かれると思っています。
ひとつめは、生地が薄いこと。
シフォンやローン、リネンのような目の詰まっていない生地は、針が糸を押しのけて通るのではなく、糸そのものを切ってしまうことがあります。
ふたつめは、針が太いこと。
大ぶりのブローチほど重さを支えるために針がしっかりしていて、そのぶん生地への負担も大きくなります。
三つめは、同じ場所に繰り返し留めること。
お気に入りの一着に、いつも同じ位置でつけていると、その一点だけ糸が疲れてきます。
この三つが重なると、穴が開きやすくなるという感じです。
逆に言うと、どれかひとつを外してあげれば、かなり防げます。
留め具には二つの形があります
ブローチの裏側を見ると、留め具の形が商品によって違います。
大きく分けると二種類です。
ひとつは、針が長くて、片側にコイル状のバネがあり、反対側の金具に針先を引っかける形。
安全ピンに近い形と言うと伝わりやすいかもしれません。
大ぶりのブローチはたいていこちらです。
もうひとつは、針が短くて、留め具をくるりと回してロックする形。
小さめのブローチによく使われています。
当店で扱っている和道工房「キノコのブローチ」は、二十ミリほどの小さな作品なので、この回してロックする形になっています。
自分の持っているブローチがどちらなのかを知っておくと、つけ方も選びやすくなります。
針が長いものは、そのぶん生地を長く拾えるので、実は重さを分散させやすいという良さがあります。
生地に合わせた留め方のコツ
生地によって、気をつける点が変わります。
薄い生地のときは、裏に当て布をします。
小さくたたんだハンカチやフェルトの切れ端を裏側に添えて、生地と一緒に針を通します。
こうすると針の力が当て布に逃げるので、服そのものへの負担が減ります。
ニットのときは、編み目を狙います。
編み目のすきまに針を通せば、糸を切らずに済みます。
針を横に寝かせて、二目ぶんくらいをすくうようにするとしっかり留まります。
厚手のコートやジャケットのときは、あまり神経質にならなくて大丈夫です。
襟や胸ポケットのあたりは生地が二枚重ねになっていることが多いので、そこを選ぶとより安心という感じです。
あとは、服ではなくバッグやストール、帽子に留めるという手もあります。
お気に入りの一着を傷めたくないときは、私はこの方法をよく使います。
重いブローチが前に垂れてしまうとき
大きめのブローチをつけると、上側が浮いて前に倒れてくることがあります。
これは針が一本しかないので、そこを軸にして回ってしまうために起きます。
対処はいくつかあります。
針をなるべく水平に、そして長く通すこと。
生地を少し多めにすくうこと。
この二つだけでも、ずいぶん安定します。
それでも垂れるときは、留める場所を変えてみてください。
胸の高い位置よりも、襟のきわや肩に近いところのほうが、生地に張りがあるので支えてくれます。
厚みのある生地を選ぶのも効きます。
薄いシャツに大きなブローチという組み合わせは、どうしても垂れやすくなります。
穴が開いてしまったときは
もし開いてしまっても、たいていの場合は元に戻せます。
織物の穴は、糸が切れたのではなく、糸が押し広げられているだけということが多いからです。
その場合は、生地を軽く湿らせて、指の腹で目を寄せるようにさするともとに戻ります。
スチームアイロンを浮かせて当てるのも有効です。
糸が切れてしまっている場合は、残念ながら戻りません。
目立つ場所であれば、その上からもう一度ブローチを留めて隠してしまうのが現実的だと思います。
今日ご紹介したいブローチ
留め具の話をしたので、その形がよく分かる一点をご紹介しようと思います。
パルナートポックの「連雀爛漫(れんじゃくらんまん)」というブローチです。

青い空を背にして、牡丹が二輪ひらいています。
左の枝には連雀がとまっていて、右からは蝶が近づいてきています。
絵画のワンシーンをそのまま切り取って胸もとにのせたような一枚です。
連雀は冬にやってくる渡り鳥で、群れで木の実を食べる姿がよく知られています。
その連雀と、初夏に咲く牡丹が同じ画面にいるので、季節をまたいだ絵になっています。
天真爛漫という言葉をもじった名前なのだろうと思いました。
横から見ると、この作品の厚みが分かります。

青い台座の上に、花と葉が層になって重なっています。
平らな板に絵を描いたのではなく、ひとつずつ立ち上がっている形です。
そして裏側です。

左端にコイル状のバネがあって、そこから長い針が伸びて、右の金具に引っかかる形になっています。
上でお話しした一つめの留め具です。
針が横幅いっぱいに通っているので、生地をしっかり拾ってくれます。
台座がお皿のようにくぼんでいるのも面白いところで、そのぶん軽く仕上がっています。
サイズは縦約三十六ミリ、横約四十四ミリ。
素材はピューターです。
ピューターについてはこちらのコラムに詳しく書いていますが、やわらかくて細かい造形が出しやすい金属です。
この花びらの一枚一枚も、その性質があってこその形だと思います。
色は職人さんが一つずつ手で挿しています。
大ぶりですが台座がくぼんでいるぶん軽いので、シャツの襟もとにも留めやすい一点です。
ほかのブローチもいくつか
当店にはブローチが三十点ほどあります。
つけ方の話に合わせて、いくつか挙げてみようと思います。
薄い服に留めたいときは、小さくて軽いものが安心です。
あざらしの赤ちゃん ブローチ(ルチカ・千七百六十円)は二十六ミリほどの小さな作品で、紺のニットに留めた写真が商品ページにあります。
シュガースプーン ブローチ(ルチカ・千九百八十円)も小ぶりです。
少し大きめで、胸もとの主役にしたいときはこちらです。
ぴよぴよ ブローチ(パルナートポック・四千七百三十円)は、ひよこが並んでいる形で、裏側は連雀爛漫と同じ長い針です。
ステゴサウルス ブローチ(パルナートポック・五千二百八十円)は背中の板まで作り込まれた一点です。
かに座 ブローチ(パルナートポック・四千二百九十円)は星座がテーマになっています。
猫がお好きな方にはクララ ブローチ(黒猫・五千六十円)や黒猫店長のカフェ ブローチ(五千二百八十円)もあります。
いきものモチーフを贈り物にお考えでしたらこちらの記事にもまとめています。
おわりに
ブローチは、留める場所を自分で決められるところが好きです。
襟に留めるか、胸に留めるか、それだけでその日の雰囲気が変わります。
穴が心配で使わずにしまってあるものがあれば、当て布をひとつ用意するだけで出番が増えると思います。
しまい方についてはアクセサリーの保管方法のほうにも書いていますので、よろしければあわせてご覧ください。
金属が肌に触れるのが気になる方は金属アレルギーと素材の記事もどうぞ。
贈り物としてお探しの場合は誕生日プレゼントのアクセサリーにもブローチを入れています。
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