帯留めの付け方|三分紐に通すだけ。浴衣に合わせる帯留めと、帯留め以外の使い方
お盆が近づくと、近所の神社に提灯が並びます。
夕方にその下を浴衣の人が歩いていくのを見かけると、今年も夏が来たなと思います。
当店には帯留めが二十点ほどあって、夏はいちばん出番の多い小物です。
ただ、帯留めって着物を着ない方にはあまりなじみがないと思ったんですよね。
私の場合も、お店に置きはじめるまで着け方を知りませんでした。
今日は帯留めの付け方を、当店の商品の裏側の写真も交えながらご紹介しようと思います。
帯留めは、紐に通して前に持ってくるだけ
結論から書くと、帯留めに留め具はありません。
裏側に輪っかが付いていて、そこへ帯締め(帯の上に締める細い紐)を通します。
通したら紐を後ろで結んで、帯留めを体の前の中央に持ってくる。それで終わりです。
ブローチのように針で刺したり、金具でぱちんと留めたりはしません。
着物の帯を傷めないように、こういう作りになっていると聞いています。
つまり帯留めを買うときは、通すための紐が別に要るという話になります。ここが最初に迷うところだと思います。
三分紐と四分紐は、どれくらいの太さか
帯留めの商品ページには「三分紐、四分紐を想定した作りになっております」と書いてあります。
この「分」は昔の長さの単位で、一分がおよそ三ミリです。
計算すると、三分紐はおよそ九ミリから一センチ、四分紐はおよそ一.二センチという幅になります。
着物用の帯締めとしてはかなり細い部類で、帯留めを通すために作られた紐だと考えていただくと分かりやすいと思います。
よく見かける平打ちの帯締めは一.五センチくらいあるものが多く、帯留めの輪をくぐらないことがあります。
お手持ちの紐を使いたいときは、幅を一度測ってみてください。一センチを超えていたら、三分紐を一本用意したほうが早いです。
浴衣に合わせるなら、三分紐の細さのほうが軽く見えて夏らしいと思います。
着けるときの順番
順番を間違えると着け直しになるので、そこだけ書いておきます。
一つめ。帯を結び終わったら、帯締めを結ぶ前に帯留めを紐に通します。
二つめ。帯留めを紐の真ん中あたりに置いて、体の前に当てます。
三つめ。紐の両端を背中に回して、後ろで結びます。
四つめ。結び目を帯の中に押し込んで隠します。
五つめ。帯留めを前の中央にすべらせて位置を整えます。
帯締めを結んでから帯留めを通そうとすると、紐の端から入れることになって手間が増えます。通してから結ぶ、という順番だけ覚えておけば大丈夫です。
位置は帯の中央でも、少し左右にずらしても構いません。私の場合は真ん中より少しだけ右に寄せることが多いです。
帯締めは、帯留めに付いてきません
当店の帯留めの商品ページには「帯締めは商品に含まれません」と書いてあります。
写真で紐が一緒に写っているものもありますが、あれは着けた状態が分かるようにした撮影用です。
届くのは帯留め本体と、専用のボックスだけになります。
三分紐は和装小物のお店で手に入りますし、色を変えるだけで同じ帯留めの見え方が変わります。白い紐だと涼しく、濃い色だと帯留めの色が締まって見えます。
夏の一本に、朝顔の帯留め
この季節にいちばんおすすめしたいのが、パルナートポックの「朝顔 帯留め」です。

青と白の朝顔が一輪、葉の上で開いています。
花びらの白い筋が中心から放射状に伸びていて、色の入れ方が実物の朝顔とよく似ています。
この帯留めには続きがあって、花の横に金色のカエルが座っています。

葉に付いた雫はカットガラスで、光が当たるとちいさく光ります。
入荷のときの説明に「日の出と共に花を開かせたばかりの朝顔」「朝顔と共に朝日を浴びるカエルくん」とありました。
朝顔は昼を待たずにしぼんでしまう花なので、開いた瞬間を切り取った形になっています。そこにカエルを一匹置いたところが、この作り手らしいと思います。
サイズは縦およそ二四ミリ、横およそ三九ミリ。素材はピューターです。
価格は五、九四〇円(税込)で、専用のボックスに入って届きます。在庫は一点だけになりました。
裏を見ると、金具がふたつに分かれています
帯留めの話でいちばん分かりにくいのが金具の形だと思うので、裏側の写真を載せます。

横向きの棒のような輪が、左右に離れてふたつ付いています。
紐はこのふたつを続けてくぐらせます。一つだけに通すと帯留めがくるくる回ってしまうので、両方に通してください。
ふたつに分かれているぶん、輪と輪のあいだに紐が見えます。ここに紐の色が出るので、紐選びが意外と効いてきます。
それから、真ん中に「SUU」という刻印が入っているのが見えると思います。
当店の帯留めはパルナートポックの和小物のライン「数(SUU)」のもので、専用ボックスにも同じロゴが入っています。
着物を着ない日にも使えます
この裏の輪は、帯締め以外のものも通せます。
当店の商品ページにも、作り手からの提案として書いてあります。
リボンを通せばヘアアクセサリーになります。スカーフの留め具にもなります。ゴム紐を通せばフリーサイズの指輪として指にはめられます。
輪がふたつある形のものは、細いチェーンを通してブレスレットやチョーカーにしたり、バッグチャームとして下げたりもできます。
年に何回も着物を着ないから、と迷われる方は多いと思います。でも普段のかばんに付けているぶんには何の問題もありません。
私の場合は、夏のあいだだけ帯留めとして使って、秋からはスカーフ留めに回す、という使い方が気に入っています。
当店の帯留め、二十二点
どれも一点ずつしか在庫がありません。今ある分をまとめておきます。
夏の水のいきもの。蛸(四、八四〇円)、フグ(五、〇六〇円)、伊勢海老(四、八四〇円)、出目金(四、八四〇円)。出目金については別の記事で詳しく書きました。
花と季節のもの。朝顔(五、九四〇円)、紫陽花(五、六一〇円)、薔薇(四、二九〇円)、椿とメジロ(五、〇六〇円)、南天と福寿草(五、六一〇円)。南天と福寿草はお正月まわりに向いています。
鳥獣戯画のシリーズが四点。兎の水遊び、兎と蛙の追いかけっこ、蛙の田楽、蛙と兎の相撲。いずれも六、七一〇円で、高山寺の公認商品です。国宝の絵巻から場面を切り出していて、枠のデザインまでその場面に合わせてあります。
そのほかのいきもの。カエル(五、七二〇円)、寅の張り子(四、八四〇円)、大蛇(五、〇六〇円)、ねずみ(四、九五〇円)、雄鶏(五、〇六〇円)、イノシシ(四、八四〇円)、ニホントカゲ(四、八四〇円)、オールトの鳩(六、六〇〇円)、投扇興(五、三九〇円)。投扇興はこちらの記事で書いています。
干支のそろっているものが多いので、その年の干支で選ぶ方もいらっしゃいます。
金魚のモチーフでそろえたい方は夏の金魚アクセサリー特集も見てみてください。
ピューターという素材のこと
当店の帯留めは、ほとんどがピューターでできています。
錫を主成分とした柔らかい金属で、細かい形を写しとるのに向いています。朝顔の花びらの筋がきれいに出ているのも、この素材だからです。
やわらかいぶん、強くぶつけるとへこみます。帯留めを外すときは紐を引っぱらず、紐をゆるめてから抜いてください。
汗が付いたまま置いておくと表面がくもるので、外したら乾いた布で一度拭いておくと長持ちします。
素材そのものについてはピューターの記事に、しまい方についてはアクセサリーの保管方法にまとめてあります。
専用ボックスに入っているので、そのまま箱にしまっておけます。箱ごと贈られる方も多くて、いきものモチーフの贈りものや誕生日のプレゼントとして選ばれることもあります。
おわりに
帯留めは、紐に通して前に回すだけ。覚えることはそれくらいです。
紐の幅だけ気をつけていただければ、あとは難しいところはありません。
着物を着る機会がなくても、リボンや鎖を通せば普段の持ちものになります。
提灯の下を歩く夜に、帯の真ん中で朝顔がひとつ光っていたら、それだけで夏の記憶になると思います。