ブログ【高品質 口琴】モハーン師製作のモールチャン
以前にもブログを書きましたが、善通寺の雑貨屋カガラカンさんで開催されたLilyNaotoさんのインド音楽演奏会以来、モールチャン(Morchang)という口琴の練習をしています。
高品質 口琴への憧れ
買ったものの練習方法が全く分からないので、LilyNaotoのNaotoさんが先生の口琴教室も通っております。
通っているというほど回数行けてませんが、心はすでに弟子です。
初めてのレッスン後に、ナオト先生が「これはいい音がするんですよ」と言って何種類か口琴を見せていただきました。初めて購入した口琴と比べ、なんにも分かっていない素人の私にでも音の良さが分かるほどの良い音が出るモルチャンもあり、品質の差があることを知りました。
私が持っているものも、LilyNaotoさんがインド現地で仕入れてきたものです。
アジアン雑貨屋さんやお土産屋さんで購入できるものよりはずっとモノは良いと思いますが、高品質な口琴の音色の違いに驚いて以来、さらに良い音の口琴が欲しくなっておりました。
どんな楽器にも初心者用のお手頃なものから、バイオリンであればプロフェッショナルでさえ憧れるようなストラディバリウスやガルネリウス級の最高級品が存在するのでしょうね。
口琴を練習し始めてから、インド雑貨屋さんなどで口琴を見かけたら吹いてみたり、ネットで見かけたものを買ってみたりもしたのですが、やはり日本では良い音色の口琴には簡単にはお目にかかれないようです。
雑貨屋さんで見かけるものの中には、弦がフレームに触れていてそもそも音が鳴らなかったり、弦が妙に柔らかかったり(これは好みの問題なのかもしれません)。演奏できる人もそう多くないと思いますので、楽器としてよりはアジアンなオブジェとして楽しむ用に販売されているものが多いのかもしれないと感じました。
次にナオト先生がインドに行かれた際には是非、より素晴らしい音色の口琴を買ってきていただこうとひそかに心に決めていました。
モハーン・ラル氏 製作の口琴
そんな時、先日はまたまたカガラカンさんで「インドの映像とお話会」というイベントがありまして、生演奏を交えながら、リリーさんナオトさんがインドで撮影した写真や映像にまつわるお話をお聞きしました。
私はやはりものづくりに興味があるようで、口琴の制作風景の部分は特に興味津々で楽しく拝見させていただきました。
そのイベント時の販売ブースに口琴がありましたので、許可をもらって試し吹きさせていただきました。
今現在所持しているものよりも低い音がして響きが大きい、サイズの大きな口琴が気になりました。
口琴は同じ職人さんが作ったものでも一つ一つ音や出来栄えが違い、完成品を演奏してみて音質を確認して仕入れてくるそうです。表に出していないものの中に、もっと私の感性に合う口琴が居る可能性もあるかもしれないと思い、休憩中のナオトさんに気に入った口琴と同じような低い音が出るものはあるか尋ねました。そこで出してきてくれたのがこちら。
他の口琴は冒頭にある写真のように、ビーズの飾りが付いていたり、またはフレーム部分に鳥の飾りが付いていたり、フレームに模様が入っていたりしますが、これは何の飾りも模様もついていない、サイズが大きいわけでもないシンプルなモルチャン。
まず見た目から入りがちな私は正直「普通っぽいな・・・」と思いました。
(せっかく出してきていただいたのになんて失礼な私!)
これはモハーンさんという方が製作されたモルチャンだそう。モハーンさんの作る口琴は有名で、世界各地から買いに来る人がいるほどすばらしい音色なのだそうです。
もちろん試し吹きさせていただきました。
弁(指ではじく部分)が固いのか太いのか、しっかりしている感じ。
そしてサイズが大きいわけではないのに深く響く感じがする、かな?
(私は周りに人がいると慌ててしまってゆっくり何かを味わうということができなくなります( ;∀;))
最初に気になったサイズの大きなモルチャンも気にならなくはないのですが、高名な方が製作したものなら間違いがないであろう、音楽家のナオトさんが褒める品が悪いはずが無かろうと考えて、モハーン氏のものを購入することにしました。
口琴職人 モハーン氏
モハーンさんが何者なのか知りたくて、ネットで検索してみました。
下記はモハーン氏の英語のウェブサイトを要約した内容です。(翻訳や解釈が間違ってたら、関係者の方申し訳ありません( ..)φ)
モハーン・ラル(Mohan Lal)氏の経歴
インド、ラジャスタン地方のジャイサルメール在住。
先祖はチットールガル出身の遊牧民で、代々鍛冶屋をしてきたそうです。
モハーン氏は彼の製作する口琴(モルチャン)があまりにも素晴らしいがゆえに、本名ではなく「モルチャン・モハーン(Morchang Mohan)」と呼ばれているそうです。
彼の祖父と父はともにモルチャンの製作に長けており、また演奏家としも有名でした。
当時は、芸術家に十分な敬意が払われていない時代でしたが、モハーン氏の父親はそんな時代の中でも高名で、近くに住む村人たちは定期的に彼の演奏を聴きに来ていました。
モハーン氏は15歳の時に思い立って、父親からモルチャンの製作と演奏を学び始めたそうです。
モーハン氏はアルゴザ(Algozha)というダブルフルートも製作します。フルート演奏の呼吸法も父親から学び、制作も始めたそうです。
国内外から人々がモハーン氏が製作したモルチャンを買いに来ます。モハーン氏は、どんな音程のモルチャンであろうとも作ることができると明言しています。そしてそれは自分が特別だからではなく、全能の神が自分を通して作るのだと考えているそうです。
「全能の神が自分を通して作る」って、インドらしい考え方ですね。
インドに行ったことはありませんが、サティア・サイババやパラマハンサ・ヨガナンダをはじめとするインドの聖者の本を読むのが好きな私。
聖者という特別な人々のみではなく、彫金師のような一般の仕事をしている人々も、神によって生かされているという考えが普通に浸透している点が素晴らしいと感じます。
2度目の口琴レッスン
LilyNaotoのお二人はたびたびツアーやヨガレッスンのために一か月ほど香川県を留守にされます。
10月もほぼ一か月北海道の方へツアーに出かけられてしまうようなので、その前にモルチャン レッスンをお願いすることにしました。
ツアー出発前日というお忙しい中申し訳なくは思うのですが、高品質モルチャンを手に入れたての新鮮な気持ちでレッスンを受けさせていただき、そしてナオト先生がお留守のひと月の間に練習をしておきたい!と思いまして久しぶりのレッスンをお願いしました。
家ですでに新たに入手した口琴を吹いてみたのですが、息を吸うときにうまく音が出ずおかしいなと思っていました。
私が下手なせいももちろんあると思うのですが、前から持っていた別のモルチャンなら吸っても音が出るのにモハーンさん作のでは音が出ないのです。技術の高い製作者の口琴のはずなのに変だなと思い、ナオト先生に音が出にくいと申し述べてみました。
すると先生はちょっと吹いてみて、私が触ってはいけない繊細な部分だと思っていた指ではじく弁の部分を押したり曲げたりし始めました。
けっこう強めの力で。
「そんなに触ってもいいんだ・・・」と私が放心している間に、先生は押したり曲げたりして弁を調整し、良い音が出る位置に調律してくれました。どうやら弁はフレームと平行にまっすぐ伸びているのではなく、やや外に向けて沿っている方が呼吸によって振動しやすくなり、良い音が出るようになるそうです。これもインドで教えてもらった技術だそうです。
さらに弁の先の丸まっている部分に蜜蝋を詰めて音程を変えることもできるそうです。他の楽器と一緒に演奏する際に、良い和音がでるように音階を調整しておくとか。
音楽の知識ゼロの状態で話を聞いているので、「へぇ、そうなのね」としか感想が無いのがもったいない気がします。もっと音楽に理解があれば「あぁ、先生が言っているのはあのことだな。」というのがリアルに感じられたのではないでしょうか。もっと音楽に興味を持って生きてくればよかったな!
ナオト先生はインドのタブラを作る工房で働いていたこともあるそうです。ちょっと旅行に行って話を聞いてきただけでは得られない深い知識を豊富に習得しておられるすっばらしい先生です。なぜこんな人材が香川出身でもないのに香川県に住んでいるのだろうか・・・とまで考えてしまいます。
高品質口琴が調律されて本来の力を発揮できる状態になったので練習開始。
一人で練習しているとできていると思っていた部分がもっと練習の余地があることがよくわかります。やはり上達するためには時折レッスンを受けた方がよさそうです。
教えてもらったフレーズを、最初はゆっくり。慣れてきたらテンポを速めて。
どれくらいの速さなら演奏できるのか、どこ程度からできなくなるのか確認して、できる店舗で繰り返し練習して少しづつ早いテンポにも慣れていく。
できてきたら教えてもらったフレーズを組み合わせて…と教わりましたが、まだまだ教わった通りの事しかできず自由に組み合わせて演奏してみるなんて上の段階の事はできそうにありません。
自分では違う音を出しているつもりなのに、家族に「なんで同じ音をひたすら鳴らしているだけなのか」と問われてショックを受けました。まだまだ練習が足りないようです。
口琴をネットで調べているうちに、ハンガリーの口琴作家、ゾルタン・シラギさんのものが有名だということを知りました。形や音階も色々あるようです。いつか実物にお目にかかる機会があれば嬉しいなと思います。