【口琴て何?】口琴の購入・練習・魅力 について
善通寺の雑貨屋、カガラカンさんでのインストアライブ以来、モルチャンという楽器の練習をしています。
LilyNaotoさんお二人のインド音楽演奏で、見た事の無い楽器ですてきな演奏を聴かせてもらってしまったら、自分でもやってみたくなりまして購入させて頂きました。
(モルモット飼いの私は「モルちゃん」という名前もすっかり気に入ってしまいました。)
世界の口琴
「モルチャン」とはインド北部の楽器、口琴のことです。
真ん中に直角に曲げられた指ではじくための弁があって、その周りをフレームが囲っているシンプルな構造の楽器。
私が購入した口琴は鉄でできているそうです。手入れしないまま放置していると錆びてきてしまうそうですが、使い込むと黒光りしてくるそうです。これはビーズがついていてかわいい(´∀`)
口琴はインド固有の民族楽器ではありません。世界各地に存在し、形も素材も呼び名も国によって違っています。
インド南部では「モールシン」
ネパールでは「モルチュンガ」
日本では「びやぼん」「くちびわ」「津軽笛」、アイヌの「ムックリ」
「ホムス」とか「ジョー・ハープ」「ジューズ・ハープ」なんていう呼び方も耳にします。
日本名の中のひとつ、「びやぼん」はまさにその音色を表した良い名前だと思います。
ロシアやシベリアの辺りでも盛んなようです。
ネットで口琴の動画を検索していたら、ロシアの女性奏者による野性味あふれるトランス・パフォーマンスを見つけました。動物の遠吠えや鳴き声を見事に再現し、民族楽器の太鼓や口琴を駆使した圧巻の演奏!ここまでの演奏は到底できないだろうけど、口琴で一曲演奏できるようになるのが私の野望になりました。
口琴のように正確な音階が無さそうな(おそらくきちんとドレミの音階がある几帳面な口琴も世界のどこかにはあるのかもしれませんが)楽器の「一曲」って覚えられるのかな…という疑問があります。口琴の動画を見ても曲を演奏しているのか、その場その場のアレンジで自由に演奏しているのか分かりかねています。
演奏パターンの様なものを何種類か覚えて、それを繰り返す形式なのかも…と、無い知識で色々想像しています。
モルチャンの音色
口琴はそれ自体をただはじいた時にはたいした音がしないのですが、口にあてると口の中で音が共鳴して「びよ~ん」というような音が鳴る非常に個性的な楽器です。
ピアノのようにはっきりした「ド・レ・ミ」の様な音階があるわけでは無く、自分の口の大きさや舌の動かし方で音が変わります。
倍音というのでしょうか。基調となる音以外の音が混じって不思議な響きが聞こえます。
「びよ~ん」という金属がはじかれて震える音の合間に「ピーン」とか「キーン」という感じの高い音が同時に響いていて、(ちなみにこの高い音は、弁がフレームにぶつかってガチガチ鳴っているのとは別の高い音ですよ)今まで学校で受けてきた音楽の授業では出会わなかった未体験の音階の流れ。
Naotoさんが演奏していた口琴は「ピーン」という高音の倍音が聞こえるのですが、私の口琴はそんな高音は出てくれません。 口琴の性質なのか、私の演奏がまずいのか…
私の口琴が素敵な倍音を奏でてくれないのは演奏が悪いからだと思いますが、口琴には良し悪しがあるようです。現地のお土産屋さんで売っているようなものは質が宜しくなく、音も悪い。もちろん楽器専門店でないような雑貨店で服やバッグなどと一緒に現地の雑貨として販売されているようなものも楽器として良いものではないようです。
口琴の制作方法
私の手元にやってきてくれた口琴は、LilyNaotoさんがインドに行った際に直接口琴職人さんにお願いして制作してもらったというもの。
これらの楽器の購入はインド現地が良いそうです。日本でも売っていなくはないそうですが、演奏に足る良い音が出せるものはやはり現地で職人さんに作っていただくのだとおっしゃっていました。
そして、同じ職人さんが作ったものでも手作りなので一つ一つ音や出来栄えが違い、完成品を演奏してみて音質を確認して購入するそうです。
制作は、職人さんが一つ一つ金属をたたいたり伸ばしたりして作っているそうです。
実際どんなふうに作っているのか気になって調べて見た口琴制作風景の動画では、作業場は屋根のある屋外の地面。職人さんは素手&裸足。素材の鉄を柔らかくするための火は鞴(ふいご)で吹いて人の手でおこした火。二人がかりで鉄の棒を叩き伸ばして先を細くし、中央を曲げて形作っていました。
こんな、一見荒々しい昔ながらの制作方法で、繊細な調整を必要とする口琴が作られているなんて!
自分の勝手な想像では、高温の火を扱うのだから革手袋を履き、鉄を扱うのだからつま先には鉄板の入った安全靴を履いて、炎は地面ではなく小さくても炉のようなものの中で燃え盛り、電気か何かで温度調節をしているものだと思っていました。
あまりの違いに驚くとともに、「これはこんな風に作られているに違いない」という思い込みがあったことに気付きました。自分の勝手な思い込みとか、価値観だけで無意識のうちに物事を判断してることっていっぱいあるんだろうなぁ…
口琴の練習
ライブの最中に間近で演奏の様子をまじまじと見ていても、何をどうやって音を出していたのか全然わからなかった口琴。
購入時にlilyさんが短時間の中で丁寧に吹き方を教えてくれました。
やってみるとビヨ~ンと音が鳴って「初めてで音が出る人は少ないんですよ」と褒めて下さいました(*^_^*)
しばらくの間一人でビヨンビヨン音を出していましたが、どうにも一曲吹けるようになりそうに無いのを感じ始めます。
小学校の頃に2年ほどピアノを習っていた以外、私に音楽の素養はありません。(ちなみにピアノも好きではありませんでした。)
音楽の授業も好きではなく、楽器を弾いてみようと思うことも無く、カラオケも嫌いです。何でも良いから楽器をやっていたら、リズム感とか演奏パターンとかよく使われるフレーズとか、今ここで口琴演奏に活かせるものがあったはずなのに!と過去の音楽への無関心が悔やまれます。
今更悔やんでも未経験なのはどうしようもないので、Lilyさんにどうすれば良いか相談しました。Naotoさんがプライベートレッスンすることも可能だとのこと。口琴は楽しいもののはずなのに自分の無力のせいでその楽しさが理解できないのはもったいない!喜んでご教授いただくことを決めました。
口琴 プライベートレッスン
さて、楽しみにしていた口琴教室です。
まず第一に、口琴というちょっと特殊な楽器を教えられる先生が近くに住んでいることの幸せ!Naotoさんが香川県の、しかもまんのう町に移住してきてくれてほんとに良かったです。しかも本場インドで勉強した経験をお持ちの先生なんてそうそう見つからないと思います。しかも口琴の専門家では無く、笛やタブラや他の様々の楽器にも造詣が深いのはその人の引き出しが多く、一つ一つの演奏や知識にも良い影響があるに違いありません。
特定のことだけに関する専門家というのは、多面的なものの見方ができにくくなってしまうのでは無いかと私は思っています。ある専門家になるためには専門外の事に関しても知識、経験がある方がきっと良いのではないでしょうか。
90分1レッスンと聞き、「こんな単純そうな楽器で90分もやることあるのかしら?」が第一印象でした。
終わってみると90分はむしろ短く、楽しく過ぎてしまいました。
一人で練習するとやりたい内容をやってみることに集中できるのですが、人(先生)が目の前にいらっしゃると、見られているのが気になってしまって集中できません(;゚ロ゚)
音程を変えるのは舌や口の中の動きの話なので、直接目で見て動きを確認できるわけでもないし、先生が出している音に近付くように色々やってみて、近い音が出たら「あ、これでいいのかな」という感じで納得していきました。
途中、先生がタブラを叩いてくださって私の口琴が音楽となるように計らって下さったのですが、音を出すこと、フレーズを繰り返すこと、リズムがずれないようにする事に必死で(必死な割にできていないのですが)、せっかくのタブラとのコラボレーションを味わうどころでは無く、さらに私が疲れて途中で止めてしまうという唐突の終了を迎えてしまう始末。
とにかくこの日に教えて頂いたフレーズを家で練習してきましょうということで、レッスン終了を迎えました。
高品質 口琴
レッスン後にNaotoさんが演奏に使っている他の口琴も見せていただきました。
口琴って指ではじく弁が細くて繊細そうなくせにケースが無くて、どんな風に収納しているのか気になっていましたが、箱の中にまとめてしまい込まれていました。たくさんの口琴を一箱にざっと入れててもさほど問題ないようです…なるほど。
「これはいい音がするんですよ」と言って見せていただいたのは、特に特別な様子も無い私の口琴とよく似た口琴。吹いてみても良いですよと言って頂いたので、吹かせて頂きました。試しにちょっと音を出してみただけなのに、それがすっごく良い音を出すのが分ってびっくり!大きな音が出るし、よく響く感じがしました。
良い口琴と雑貨品質の口琴があることがはっきり分りました。良い音の口琴が欲しくなってしまいました。次回インドに行かれる際には高品質の口琴にもし出会えたら買ってきてくれないかな…。今年はインドに行かれる予定は無いそうなので、来年にでも行く計画を聞いたらお願いしてみようと思います。
前から分らなかったことや、ふと気になった事、教えてもらう中で新たに出てきた疑問をすぐ先生に聞けるのはとても良い機会となりました。
私は分らないことがあればすぐネットで調べるのが癖になっていまして、何ならネットでちょっと調べただけで満足してしまいがちです。見知らぬ方とのコミュニケーションは不得手な方なので、ネットや本で調べて済む事ならなるべく調べて終わらせたい気になりがちですが、目の前の人から教わる事ほど多くのものが学べる機会は無いのでしょうね。
帰宅して夜ごと練習していますが、慣れてくると「なぜこの単純なフレーズがあの時はあんなにできなかったのか」と不思議になるほど短いフレーズでした。次回までにさんざん練習して、このフレーズだけは詰まらずに演奏できるようになりたいと思っています。
夜練習するので、寝ている家族に「なんか怖い音がする」と戸を閉められてしまいました。私の口琴練習は、しずかちゃんのバイオリン演奏並の威力を持つようです。
LilyNaotoのお二人は今ライブツアーに出かけています。帰ってこられたらまたNaoto先生にレッスンをお願いしたいと思っています。
口琴 レザーケースの制作
口琴は布製のポーチに入れて持ち歩きしていましたが、弁をどこかに引っ掛けてしまわないか、何かの拍子に曲がってしまわないか常に心配でした。購入した際には布袋に入っていましたが、これは楽器を保護するケースと言うよりも、裸で置いておくのも何だから埃よけ程度に袋にでも入れておけばいいか、ぐらいの薄いカバーみたいなもの。バイオリンケースみたいに、楽器を傷つけずに持ち運ぶためのトランクみたいなのがあればいいなと感じていました。
調べていると、竹製の細長い口琴には筒状のケースが存在するみたい。
そして金属製の折れ曲げられた弁が付いている口琴には、木製のケースがあるものがあるらしいことを発見しました。様々な口琴が世界中に存在するので、国によって専用ケースが作られていたり、インド北部のモルチャンのようにケースが制作されていない地域があったりするのでしょうね。
木製のケースにも様々な形状があるようです。
弁がどこかに引っかからなければそれで良し!みたいな、ただの四角い木にくくりつけただけのケースとは言い難い形状のもの。
シンプルだけど実用的な蓋付の収納ケースになっているもの。
木製ケースの外側に飾り彫りを施して、ケース自体が魅力的な装飾品と言えるようなもの。
偶然見つけた熊の木製口琴ケースがとっても可愛くて欲しくなりました。クマさんの口がぽっかり開いていて、その口に丁度弁が入るようになっています。
だけど口琴とセット販売なようで、ケースのみの販売はしていないみたい。さらにこのケースはロシア製で、私が持っているインド製の口琴がぴったり収まるかどうか分かりません。買ったはいいけど入らないのでは意味無いし…
ケースの制作を頼めるような木彫作家の知り合いも居ないし、もしケースの制作を頼める人がいたとしても結構な費用がかかりそうな気が…と悩んでいましたが、よく考えたらウッドケースにこだわらずに、得意のレザークラフトで自作したら良いことに思い至りました。
とはいっても、モルチャンの革製ケースというものを見かけたことがないので、どんな形状の入れ物を制作すればいいのか全くアイデアが思い浮かびません。どうしたもんかと周りを見回していると革作家、もりやゆかさん作の小さなブーツのネックレスが目に入りました。モルチャンの弁の曲がった形が人の足と同じ形状なのではないかと思い、第一試作としてブーツ状の口琴ケースを作ってみることにしました。
どの厚みの革を使えばいいのかも未知なので、まずは全パーツ、縫いやすそうな1.2mm厚の薄めのヌメ革を使ってみました。型紙もとりあえず基本形そのままの形で作り、口琴を入れてみてから改良することにいたしました。
ひとまず完成した試作品にモルチャンを入れてみましたが、当然しっくりきません。
・ブーツの筒周りをもっと細身にしたほうが良さそう。
・とりあえず使ってみた金具はもっと小さいほうが良い。
・靴底は厚い革を使いたい。
・靴がスポッと脱げやすいので動かないような形状の開発。
とか改善点を上げていくと、もうブーツという形状を選んだこと自体が間違ってるとしか思えなくなってきました。
そこでせっかく作りましたがいったんブーツから離れることにいたします。
革も薄いものから3mm厚のものに変更。シンプル イズ ベストをめざしました。
試作段階なのでコバ磨き等の完成品には施す予定の手間はかけていませんが、なかなか良いものができたのでは無いでしょうか?!
弁を守りつつ、口琴がスポッと抜け落ちない構造。これならカバンにポイッと放り込んでもどこも破損しないと思います。そして予想以上に切り込みに本体がしっかり収まってくれています。
これでしばらく使ってみて、不便が無ければ良し。改善点が見つかれば型紙を修正します。
でも大まかにはこの形状で問題無さそうな気がします。良い口琴ケースができそうな予感でとても嬉しい(*^_^*)ますます練習に精が出せそうです。